プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)西バルカン地域国家森林火災情報システム(NFFIS)とEco-DRRによる災害リスク削減のための能力強化プロジェクト
(英)Project on Capacity Building for Disaster Risk Reduction through National Forest Fire Information System(NFFIS)and Eco-DRR

対象国名

モンテネグロ

署名日(実施合意)

2020年10月22日

プロジェクトサイト

ポドゴリツァ、ウルチン、(オプション活動:コラシン)

協力期間

2021年3月2日から2026年2月28日(5年間)

相手国機関名

(和)内務省保護救助局
(英)Rescue and Protection Directorate, Ministry of Interior

背景

コソボ及びモンテネグロは、西バルカン地域に位置し、それぞれ国土の約半分を森林が占める国です。森林の多くが山岳・丘陵地帯に位置しており、土壌保全や流域管理の観点から山地における森林生態系の維持・管理が必要となっているなか、自然災害として頻繁に発生する森林火災が森林生態系に与える深刻な脅威の一つとなっているため、早期の対策が急務となっています。
日本は、同じ西バルカン地域にある北マケドニア国に対して、マケドニア森林火災情報システム(MKFFIS:マクフィス)の整備を通じて、森林火災を中心とした災害に対応できる体制の構築を行い、防災・減災の能力強化という観点で、北マケドニア政府からも高く評価されました。このような一連の対北マケドニア協力および下記のような現状を踏まえ、このたびコソボ政府及びモンテネグロ政府より類似の協力実施の支援要請がなされました。

モンテネグロはバルカン半島の西中央部に位置し、西はアドリア海に面しています。気候は地中海性で、国土面積の3分の2はカルスト地形を形成し、また地震帯にも位置しており、毎年地震が発生している他、洪水、吹雪、暴風、森林火災などの自然災害も毎年確認されている。
コソボと同様に、森林火災発生時の消火活動が十分に機能していないことから、限られた人員体制の中で有効に森林火災に対応できるよう、早期警報システムの導入が強く望まれています。
モンテネグロで発生する自然災害の発生件数は、暴風被害が約1割を占め、国家戦略の中で、沿岸地域及び海洋活動における重要なインフラ機能に大きな影響を与える災害として記載されています。沿岸地域では、旧ユーゴスラビア時代に防風を目的として海岸林の整備が行われており、今後適切な開発行為の規制や海岸林の維持管理方法などを確立し、後世に残していくことが必要とされています。
(注)Eco-DRR:生態系は多様な機能を持っており、例えば森林は木材生産以外に、土壌保全、水源涵養、保健休養、生物多様性といった多くの機能を発揮することができます。持続可能で回復力のある環境を実現するために、災害リスクを低減するための生態系の持続可能な管理、保全および復旧を実施することをEco-DRR(生態系を活用した防災・減災)と呼びます。

目標

上位目標

モンテネグロにおける保護・救助システムが、森林火災及びその他の自然災害を防ぐための取り組みに対する政府機関の能力向上により、強化される。

プロジェクト目標

森林火災及びその他自然災害の防災・減災にかかる政府関係者の能力が、NFFIS及びEco-DRRの導入を通じて強化される。

成果

1.森林火災モニタリングのためのNFFISが開発、試験、運用される
2.特定の災害からの被害防止のために必要なEco-DRRの手法が実証される

活動

成果1.森林火災モニタリングのためのNFFISが開発、試験、運用される

1-1.NFFIS開発の方法論、定義・概念図を作成する。
1-2.既存のリソースについて調査を行い、NFFISの開発に向けた隔たりを明確にする。
1-3.NFFISの技術的な機能仕様書を作成する。
1-4.NFFIS開発に必要な機能と設備を構築する。(開発含む)
1-5.NFFIS運用に向けDEM職員に対しNFFISに係る技術その他必要な研修を実施する。
1-6.関係機関と共にNFFISの保護・救助システムへの統合に向けた計画を作成する。
1-7.NFFISの運用と共に1-6の計画を実施する。
1-8.NFFISとその拡張サービス機能を政策・計画に反映させる。

成果2.特定の災害からの被害防止のために必要なEco-DRRの手法が実証される

活動2-1.海岸の景観におけるEco-DRRの認識を向上させ、Eco-DRR活動を促進する。
活動2-1-0.海岸の景観における森林に関する文献を調査・収集する。
活動2-1-1.ウルチンにおける海岸域の土地利用と森林についてのマッピングを行う。
活動2-1-2.海岸の景観における課題を特定する。
活動2-1-3.住民に向けた啓発活動や環境教育を実施する。
活動2-1-4.海岸林における植樹祭の開催または海岸防災林の修復支援を行う。
活動2-1-5.海岸域の土地利用と森林について定期的なモニタリング・評価を行う。
活動2-1-6.Eco-DRRを政策・計画に反映させる(気候変動、森林、防災・減災、外部資金獲得に向けた投資計画等)。

活動2-2.ディナール山脈の支川の土砂流出問題を特定し、土砂対策としてのEco-DRR試験地の設計・施工・モニタリングを実施する。
活動2-2-1.土砂流出対策の実証のための支流を特定する。
活動2-2-2.必要なマッピングを行い、問題点を特定する。
活動2-2-3.渓間工・山腹工の設計と実証的な施工を行う。
活動2-2-4.モニタリング・評価を行う。
活動2-2-5.ディナール山脈の土砂流出にかかる将来の投資戦略・計画を特定する。
活動2-2-6.こうした知見を政策・計画に反映させる(気候変動、森林、DRR、投資計画、空間計画など)。

投入

日本側投入

1.短期専門家派遣
2.本邦への研修員受入
3.資機材供与

相手国側投入

1.カウンターパート配置
2.プロジェクトオフィス等の施設及び機材
3.JICAが供与する機材の設置・運転・維持に係る諸経費の負担