2018年4月4日
開発途上国の母子保健分野の現状を計る指標として妊産婦死亡率と新生児の死亡率があります。モザンビークでは、どちらも年々着実に低下しているものの、2015年の世界保健機構(WHO)の統計では妊産婦死亡率:489人/10万人、新生児の死亡率:27.1人/千人であり、依然として高い数値となっています。(例:日本の妊産婦死亡率:5人/10万人、新生児死亡率:0.9人/千人)
その原因の一つとして、母子保健看護師の技量不足が挙げられますが、プロジェクトニュース2号で記載した通り、様々な問題から保健分野における継続教育のシステムが十分に機能していないのが現状です。
そのため、母子保健看護師の技能研修システムの再構築・普及を目指し、本プロジェクトのモデル地域であるナンプラ、ザンベジア、イニャンバネ州にて、まずは、医療施設にある教材や医療機材、病院設備などの調査を実施し、調査結果をもとに各州内の6つの医療施設を継続研修拠点として選定しました。(合計18医療施設)
その後、母子保健看護における医療手順や技術マニュアルを統括する公衆衛生局や人間的ケアの普及を推進する医療サービス局と協力し、技術マニュアルや医療手順フロー等に関する既存資料の確認、また看護師に求められる技術内容を整理し、母子保健師分野における継続研修講師養成プログラム(全研修時間:120時間)を作成しました。
これらの過程を経て、上述の継続研修拠点として選定された医療施設から母子保健看護師などを対象として、研修講師養成プログラムを州ごとに実施しました。
このプログラムで講師資格を取得した母子保健看護師たちは、各自の勤務先の医療施設(継続研修拠点)を中心にその周辺地域に勤務する母子保健看護師に対する技能強化研修の実施が期待されており、今後、プロジェクトでは各地での継続研修のモニタリングを行い、持続性のあるシステムの構築を目指しています。