2019年3月28日
これまでモザンビークの保健医療分野ではトレーナーとしての技術を証明する明確な資格制度がなく、現職看護師への技術研修を実施する際に適切なトレーナーを選定することができませんでした。そのため、トレーナーとしての能力が十分でない者が研修講師を担っていたために期待される研修成果が達成されないケースが見られました。このような背景から、プロジェクトニュース2号で紹介したように、プロジェクトで研修トレーナー資格制度を開発し、2017年8月までにモザンビークで最初となる資格認定試験を実施しました。
そして、プロジェクトニュース5号でお伝えした通り、この試験でトレーナーに認定された人材を活用し、イニャンバネ州、ザンベジア州、ナンプラ州の3州にて、保健省が定める継続研修のモデル医療施設と医療従事者養成学校の母子保健看護師を対象とした、研修トレーナー養成研修を実施しました。現在は養成された研修トレーナーが自らの配属先やその周辺医療施設に勤務する看護師や看護学生に対して技術指導・技術移転のための研修を開始しています。
主な研修テーマは、妊産婦・新生児の死亡要因の代表例として挙げられる出産後の多量出血や新生児の呼吸不全の対処法、妊婦の意見を尊重した看護や夫が付き添える環境改善といった妊産婦に対する人間的ケアの実践方法、また患者への効率的な対応を実践するため、5S(整理・整頓など)を取り入れた職場環境改善の実施方法などです。研修は受講者の理解促進のため、視聴覚教材を取り入れた座学とJICAが供与した出産シミュレーターなどの機材を活用した実習で構成されています。
プロジェクトチームは、研修実施状況の確認を行うため継続研修拠点の18施設を訪問し、研修実施にかかる意見交換のほか、供与機材や医療現場で活用されていない既存機材(保育器やインファントウォーマーなど)の適切な使い方の指導など技術研修フォローアップを行いました。
各施設では、1週間以内の短期集中型の実施例や、勤務時間内に研修を実施できるよう、毎日特定の時間を設定している例等の工夫が見られ、各施設においてそれぞれ持続可能な方法を模索しながら研修が行われています。さらにこれらのモニタリング結果をまとめ、郡や州の保健局長に報告し、各地における研修実施促進と研修システムの確立を目指しています。