プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)橋梁維持管理能力強化プロジェクト
(英)Project for Improvement of Bridge Maintenance and Management Capability in Mozambique

対象国名

モザンビーク

署名日(実施合意)

2020年11月16日

プロジェクトサイト

モザンビーク全土

協力期間

2021年3月24日から2024年10月31日

相手国機関名

(和)モザンビーク道路公社
(葡)The Administração Nacional de Estradas, Instituto Publico

背景

モザンビーク共和国(以下「モザンビーク」という。)は、内戦後の国内情勢安定に伴い、南アフリカ共和国等の周辺国から投資が活発化した等の理由により、2015年までは、年7%前後のGDP成長率を記録していた。しかし資源価格の下落や債務問題等により年3%前後のGDP成長率となり最貧困国の一つとして位置づけられている。
モザンビークの道路階級は分類道路及び非分類道路に分けられる。分類道路の総延長は30,345キロメートルだが、舗装率は24%と低い数値である。一方、国内での貨物輸送の3割以上が、旅客輸送では9割以上が道路輸送で行われており、国内にはナカラ回廊を始めとした6つの経済回廊があり、マラウイ共和国、ザンビア共和国やジンバブエ共和国等の国境を接する内陸国がインド洋へと至る交通の要衝を占めている。
「グローバル気候リスク指数2020」(Global Climate Risk Index 2020)によると、モザンビークはアフリカ諸国の中でも自然災害等の影響を受けやすい国とされている。干ばつ・洪水・サイクロン等による道路や橋梁の破壊により、地域の孤立や経済活動の停滞等が起き、数百万人の人々の生活に影響が出る場合もある。こうした中、ANE,IPは民間事業者へ委託する形で維持管理を担っているが、ANE,IPの維持管理能力における課題が浮き彫りとなっている。適時・適切な維持管理・補修作業の未実施が原因となり、雨季やサイクロン等による洪水、過積載車両の通行や仮設橋であるベイリー橋の恒常的な使用等が要因となり橋梁に損傷が生じ、落橋事故等が頻発している。2018年から2019年にかけては、ベイリー橋の落橋事故等が4件以上発生した。こうした状況の背景には、点検・診断に関する知識・技術不足、マニュアル類の未整備、維持管理予算不足、職員数の不足に起因した民間事業者への適切な監督の未実施等が挙げられる。この現状を改善し、PDCAサイクルに基づいた点検・診断・措置・記録の一連の維持管理作業を定着させることを目的とし、ANE,IP職員の維持管理作業に対する能力向上、点検・診断作業を補完するDX機器やBMS等を活用した効率的な維持管理体制の確立、さらには、配賦予算も考慮した効率的かつ適切な維持管理の実施が求められている。こうした状況を受け、PDCAサイクルに基づいた橋梁維持管理の確立及び効率的な橋梁維持管理に係る技術者の能力向上を目的として、本事業の実施が我が国へ要請されました。

目標

上位目標

パイロット事業対象地域の橋梁が適切に維持管理される。

プロジェクト目標

道路公社(ANE,IP)及びパイロット事業対象地域におけるANE地方事務所の技術者の橋梁維持管理能力が向上する。

成果

1.ANE,IP及びパイロット事業対象地域におけるANE地方事務所の技術者の橋梁点検・診断に係る知識・技能が習得される。
2.ANE,IP及びパイロット事業対象地域におけるANE地方事務所の技術者の橋梁補修・維持管理に係る知識・技能が習得される。
3.ANE,IP及びパイロット事業対象地域におけるANE地方事務所の技術者のBMS運用管理に関する知識が習得される。
4.ANE,IP及びパイロット事業対象地域におけるANE地方事務所の技術者の橋梁維持管理計画の策定に関する知識が習得される。

活動

1-1.モザンビークにおける橋梁点検・診断に係る現状把握・課題抽出
1-2.橋梁点検・診断マニュアル案(日常維持管理を含む)の作成
1-3.橋梁点検・診断マニュアル案に基づく点検・診断の実施
1-4.橋梁点検・診断マニュアル案の見直し・最終化
1-5.道路公社(ANE)及び民間事業者の技術者を対象とした橋梁検・診断マニュアル活用に関する研修の実施

2-1.モザンビークにおける橋梁補修に係る現状把握・課題抽出
2-2.橋梁補修・維持管理マニュアル案の作成
2-3.橋梁補修・維持管理マニュアル案に基づくパイロット事業実施対象地域における橋梁補修の実施
2-4.橋梁補修・維持管理マニュアル案の見直し・最終化
2-5.道路公社(ANE)及び民間事業者の技術者を対象とした橋梁補修マニュアル活用に関する研修の実施

3-1.橋梁インベントリー及びBMSの管理に係る現状把握・課題抽出
3-2.BMSの現状把握・課題抽出
3-3.BMS運用実態の確認
3-4.BMSの運用方法の検討
3-5.道路公社(ANE)に対するBMS運用に関する研修の実施

4-1.BMSの分析に基づく橋梁維持管理計画案の現状把握・課題抽出
4-2.橋梁補修の優先事業の特定と橋梁維持管理計画の見直し
4-3.橋梁維持管理計画の最終化・予算申請
4-4.橋梁維持管理計画に沿った、活動1-3のパイロット橋梁の点検・診断、活動2-3の橋梁の補修・維持管理の計画・モニタリング・評価の実施
4-5.橋梁維持管理計画に基づいたBMS運用に関する研修の実施

投入

日本側投入

1.専門家派遣

・産学官連携推進に係る長期専門家
・業務主任/橋梁アセットマネージメント
・副業務主任/橋梁点検・診断
・橋梁維持管理・補修(コンクリート橋)
・橋梁維持管理・補修(鋼橋)
・橋梁維持管理(維持作業・小補修)
・橋梁維持管理システム(BMSシステム)
・橋梁維持管理システム(BMSネットワーク)
・モニタリング・評価
・能力強化研修
・橋梁アセットマネージメント(産学官連携)補助
・その他(必要に応じて)

2.研修

・本邦及び第3国におけるカウンターパート研修

3.機材供与

・橋梁維持管理機材

相手国側投入

1.C/Pの配置

・プロジェクト・ダイレクター
・プロジェクト・マネージャー
・プロジェクト・コーディネーター
・ANE,IP本部及び州事務所からの技術カウンターパート

2.プロジェクトオフィス(家具、インターネット等)

3.プロジェクト経費(モザンビーク国内のC/P研修経費、橋梁補修パイロットプロジェクト経費)

4.年次維持管理業務にかかるコスト