プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)持続可能な森林管理・REDD+プロジェクト
(英)Project for Sustainable Forest Management and REDD+

対象国名

モザンビーク共和国

署名日(実施合意)

2018年12月14日

プロジェクトサイト

全国(成果1)、ニアッサ州(成果2)

協力期間

2019年4月8日から2024年4月7日

相手国機関名

土地環境省

背景

モザンビークでは、国土の約48%にあたる約38百万haを森林が占めているが、毎年22万ha、0.58%の森林が消失している。森林減少の主な理由には、鉱山開発、過度の焼畑利用及び薪炭材採取、農地転用、違法伐採、森林火災などが挙げられ、根本的な要因として、農村部の住民の森林資源への依存度の高さと森林行政のガバナンスの弱さがあると考えられる。
モザンビークにおける森林減少は、年間約12百万トンのCO2排出量にも匹敵すると言われ、2012年以降、世界銀行(以下、「世銀」)の森林炭素パートナーシップ基金(FCPF)REDD準備計画が進められるなど、国際機関やドナー機関の支援を得て、REDD+の取組を進めている。また、2015年10月に国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局に提出された温室効果ガス(GHG)削減の自主的に決定する約束(Nationally Determined Contributions:NDC)においては、2020年から2030年までの期間に76.5百万トンCO2のGHG削減を目標としており、気候変動緩和策のひとつとしてREDD+が位置づけられている。さらに、モザンビーク政府はREDD+を活用して持続的な経済発展と森林保全の両立の実現を目指し、2016年にREDD+国家戦略を策定している。
我が国においても、2010年以降、モザンビーク政府のREDD+を通じた森林保全への取組を、政策アドバイザーの派遣、機材供与、技術協力、人材育成といった形で支援している。2013年からは、「REDD+モニタリングのための持続可能な森林資源情報プラットフォーム整備プロジェクト」(開発計画調査型技術協力)を開始し、適切な森林モニタリングを実施することによるREDD+の促進に向けた森林資源情報プラットフォームの整備や、ガザ州及びカーボデルガド州における森林被覆図作成、森林参照レベル(FRL)の設定などに関する支援を行ってきた。これらの我が国を含む国際社会による支援を通じて、土地環境省(MTA)の持続可能な森林管理やREDD+を促進するための能力が強化されつつある。しかしながら、広大な国土を有し、人員や予算が極めて限られるMTAや地方行政機関が、国際基準を満たすREDD+の実施や、REDD+を通じた森林管理を持続的に行っていく上では、政策面、技術面、人材育成面でさらなる支援が求められている。このため、モザンビーク政府は、持続可能な森林管理及び森林保全とNDC目標の達成を目的に、「REDD+モニタリングのための持続可能な森林資源情報プラットフォーム整備プロジェクト」で整備中の「森林資源情報プラットフォーム」の発展・活用による国レベルの森林モニタリングシステム(NFMS)の構築及び運用と、準国(州)レベルでの森林減少抑制の取組に関する協力を日本政府に要請した。

目標

上位目標

モザンビークにおいて国家森林モニタリングシステム(NFMS)の運用によるREDD+及び持続可能な森林管理の実施と、ニアッサ州におけるREDD+事業も通じた持続可能な森林管理(SFM)が促進される。

プロジェクト目標

土地環境省(MTA)及びニアッサ州政府の持続可能な森林管理及びREDD+を実施するための能力が強化される。

成果

1.国家森林モニタリングシステム(NFMS)がREDD+と持続可能な森林管理のために運用されている。
2.REDD+を含む持続可能な森林管理のための州政府の計画プロセス及び実践の試行が推進される。

活動

成果1関連:REDD+と持続可能な森林管理のための国家森林モニタリングシステム(NFMS)の運用

1-1.NFMSの効果的な実施を確実にするため、組織間調整メカニズムを確立し、同メカニズムを運用する。
1-2.モザンビークにおけるNFMSを定義する。
1-3.REDD+及びSFMのためのNFMSの各要素(リモートセンシング、森林資源インベントリ、炭素蓄積量計算など)に関する運用マニュアルを最終化する。
1-4.レーダー画像や早期警戒システム(JJ-FAST、Global Forest Watchなど)を用いてNFMSに、年次森林伐採モニタリング機能を組み込む。
1-5.NFMSのデータベースとして機能し、REDD+及びSFMに関するデータと情報を、管理・生産・保管・共有するため、森林資源情報プラットフォーム(FRIP)を強化する。
1-6.森林伐採の主要原因に向けた対策の効果を評価するため、ニアッサ州におけるREDD+及びSFMのための現場活動(成果2)から得られた知見をNFMSに反映させる。
1-7.活動1-6に示した知見を関連する政策・計画に反映し、また、政策・計画を実施するための資金源(例:GCF、FIP、GEF、民間セクターなど)を模索する。
1-8.REDD+及びSFMを推進するためNFMSの適正化及び必要な能力強化のための計画を策定し実施する。
1-9.ニアッサ州及びニアッサ保護区の年間温室効果ガス削減量を推計する。

成果2関連:REDD+を含む持続可能な森林管理のためのニアッサ州政府の計画プロセス及び実践の試行の推進

2-1.州森林管理計画を策定するためステークホルダー間で協議する。
2-2.州森林管理計画案を作成する(既存の森林資源、コンセッション管理プロセス、参加型森林管理、森林インベントリの評価)。
2-3.州森林管理計画案を公認する。
2-4.州森林管理計画の内容を、関連する国家レベルあるいは準国レベルの政策・計画に反映させる(例:国家森林プログラム(NFP))。
2-5.ニアッサ州森林管理計画の実施及びその他9州での森林管理計画の策定を促進するため、資金源(例:GCF、FIP、GEF、民間部門など)を模索する。
2-6.州政府職員の森林管理に係る能力強化を行う。
2-7.策定された州森林管理計画における優先的な活動を特定し、その実践を試行する。

投入

日本側投入

・専門家:短期専門家(総括/森林・気候変動政策、REDD+/資金動員、森林モニタリング(リモートセンシング)、森林モニタリング(インベントリ)、地方森林管理計画・実施、森林管理/REDD+パイロット、業務管理/森林管理/セーフガード、その他の専門家及びローカル専門家)
・研修受け入れ:本邦研修(森林計画制度および森林管理技術研修)
・機材供与:車輌、オートバイ、マウンテンバイク、コンピュータ、GPS機器、その他プロジェクトの実施に必要な機材

相手国側投入

・カウンターパート(C/P)の配置:プロジェクト・ダイレクター、プロジェクト・マネージャー、フィールド・ダイレクター、フィールド・マネージャー、中央レベルのC/P、州レベルのC/P
・施設の提供:JICA専門家用執務室など
・ローカル経費の負担:事務及び活動経費