World Savings Day(世界貯蓄の日)イベントの開催

2019年11月16日

国際協力機構(JICA)によるミャンマー中央銀行向け「資金・証券決済システム近代化プロジェクト」は、2019年11月16日、「世界貯蓄の日プロモーション」をヤンゴン大学、ミャンマー計画財務省、GIZ(ドイツ国際協力公社)、UNCDF(国際資本開発基金)と共同で開催しました。

World Savings Day(世界貯蓄の日)は、人々の貯蓄行動を促進する事を目的として制定され95年の歴史を持っています。世界貯蓄の日に合わせて世界各地でプロモーション活動が行われており、ミャンマーは今年が2回目となりました。本年は昨年より規模を大きくして、The Secretariat Yangonで実施しました。JICAも銀行サービスをもっと多くの人々に利用してもらうよう宣伝すべく、今回の貯蓄の日プロモーションに参加しました。

貯蓄を推進する目的は、1)各家庭がもつタンス預金や金や家畜などの現物資産での保管を、金融機関での貯蓄に移行させること、2)倹約を促し貯蓄を増やすことで将来のリスクに対応し、経済発展に寄与する事です。過去に廃貨や銀行の取り付け騒ぎを経験したミャンマーでは、人々の現金志向が根強く、タンス預金(現金や宝石などを家庭で保管すること)比率が高く、銀行やその他の金融サービスを利用している人が少ないのが現状です。UNCDFの統計(2018年)によれば全貯蓄資産のうち銀行などのフォーマル金融を使った貯蓄は12%弱で、タンス預金などの家庭での貯蓄は44%となっています。

このような状況を改善するため、JICAの無償資金協力により、ミャンマー中央銀行はスピーディで安全な決済システム(CBM-NET)を整備し、2016年1月に稼働を開始しました。現在は、市中銀行との完全オンライン接続、個人向け送金の24時間対応、災害対策機能等を追加したCBM-NET2の開発を無償資金協力にて実施中です。これにより、これまでリスクの高いインフォーマル送金を利用していた人々にとってもフォーマルな送金サービスを利用しやすい環境が整備される予定です。同時に、「資金・証券決済システム近代化プロジェクト」では、決済システム運用・保守に係る人材育成も実施しています。

今後も、「資金・証券決済システム近代化プロジェクト」では、スピーディで安全なCBM-NETがより多くの人に利用され、ミャンマーにおける金融包摂活動の一助となるような活動をしていきます。

イベント当日の模様は以下のとおりです。

【画像】計画・財務省のマウンマウンウィン副大臣によるオープニングスピーチの模様。
これに続き、ヤンゴン大学の学生による論文コンテストの結果発表や、貯蓄プロモーション動画の発表、パネルディスカッションなどが行われました。

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貯蓄の日メッセージを記入するマウンマウン副大臣

芝生エリアでは各銀行や証券会社、マイクロファイナンス機関や共同組合などが参加して、口座開設キャンペーンや貯金箱ペイントなど様々な催しが行われました。

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貯金箱ペイントブースの様子

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銀行のマスコットも登場!

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銀行口座を開設する人が各ブースに集まりました。

【画像】今回の会場となったThe Secretariat Yangonの様子。
The Secretariat Yangonは1905年の完成後イギリス統治行政の中心として、各省執務室や国会として利用されていた歴史的に重要な場所で、1947年7月19日にアウンサウン将軍および8名の閣僚が暗殺された場所でもあり、ミャンマー人にとっては聖地のような場所です。地震による一部崩壊やネピドー首都移転によりしばらく使われておりませんでしたが、リノベーションにより一部開放されたことで利用することができました。