QRコードワークショップの実施

2020年1月11日

国際協力機構(JICA)によるミャンマー中央銀行向け「資金・証券決済システム近代プロジェクト」は、2020年1月10日と11日、株式会社デンソーウェーブおよび株式会社三菱総合研究所と共同で「QRコードワークショップ」をヤンゴンと首都ネピドーで実施しました。

【画像】各省庁からの参加者と一緒に

QRコード(注)はデンソーウェーブ社が特許を有していますが、ISO(国際標準化機構)規格に準拠したQRコードは自由に利用できる事から、中国でのモバイル決済をはじめ世界中で利用されるようになりました。ミャンマーにおいても例外ではなく、2016年のモバイル金融サービス規制策定をきっかけに多くの市中銀行やモバイル決済業者がモバイル決済サービスを提供しており、QRコード決済はミャンマーにおいても広く利用されています。

JICAの無償資金協力により、ミャンマー中央銀行はスピーディで安全な決済システム(CBM-NET)を2016年に整備しました。現在は市中銀行との完全オンライン接続、個人向け送金の24時間対応、災害対策機能等を追加したCBM-NET2の開発中で、ミャンマー中央銀行と政府はキャッシュレス決済を促進しています。これを支援する当プロジェクトは、リスクの高いインフォーマル送金から銀行やモバイル決済などのフォーマルなサービスへの移行を促進すべく、モバイル決済に欠かせないQRコードについて紹介するワークショップを開催しました。今回のワークショップはデンソーウェーブと三菱総合研究所の協力を得て、QRコードの父(発明者)である原昌宏さん(デンソーウェーブ)にお越しいただき実現することができました。ミャンマーで営業する44銀行(国営・民間・外国銀行)とミャンマーの各省庁から200名を超える参加者に向けて、原さんからQRコード進化の歴史や、新しいQRコードの特徴、様々な分野での利用例、リスクやその対策などを説明いただきました。新しいQRコードの具体例として、コンサートチケットの発行において、個人情報などのデータを暗号化して通常のリーダーでは読めない領域に隠すことのできるSQRCを使い、転売を防止するなどの方法があります。プレゼンテーションの後には、QRコードを使った顔認証システムのデモンストレーションを行い、参加者の関心を集めていました。

【画像】

新しいQRコードを説明する開発者の原氏

【画像】

ワークショップ開催の挨拶をするJICAプロジェクトリーダー乾専門家

【画像】

QRコードを使った顔認証システムをデモンストレーションする安井氏(Denso International Asia)

参加者からは、「QRコードを使った決済においての注意点や対策」、「次世代QRコードの開発展望」、「政府機関におけるQRコード利用例」などの質問があり、QRコードに対するミャンマーの興味が高い事が示されました。また、今回のワークショップにおいて教育省、歳入庁、入国管理局などでQRコードが使われていることが分かり、ミャンマー政府の電子化が進んでいる事が伺えました。

【画像】

参加者は興味深く話を聞いていました。

【画像】

多くのカウンターパート(ミャンマー中央銀行決済局のみなさん)にお手伝いいただきました。

【画像】JICAミャンマー事務所唐澤事務所長と面談。鉄道におけるQRコード利用などJICA支援に応用できる技術について意見交換を行いました。

(注)QRコードはデンソーウェーブ社が開発した2次元コードで、従来のバーコードなどと比較して、1)大容量データの格納、2)省スペースへの印字、3)汚れ・破損に強い、4)360度どの方向からでも読み取り可能、5)連結機能のサポートといった特徴があります。開発当初はトヨタカンバン方式のような生産管理での利用を想定していましたが、現在ではモバイル決済やチケットなど様々なシーンで利用されるようになってきています。1994年の初期QRコードの後には、Micro QR, iQR Code, SQRC, Anti-Copying QR code, Frame QRなど様々なシーンに合わせた新しいQRコードがデンソーウェーブ社によって開発されています。

【画像】

銀行のATM前にあるQRコードとQRコードの父(発明者)である原氏

【画像】

ミャンマー仏教の総本山である寺院「シュエダゴン・パゴダ」で見つけたQRコードをみる原氏。残念ながらQRコードを使ったお布施はまだでした。

【画像】シュエダゴン・パゴダには、QRコードの三隅にある「切り出しシンボル」と同じ模様がありました!もしかしてミャンマーがQRコードのルーツ!?