本邦研修の開催

2020年1月15日

2020年1月

プロジェクトの重要な活動の一つとして、2020年1月、プロジェクトのカウンターパートを日本に迎え、本邦研修(Counterpart Workshop in Japan on Improving Basic Health Services through Life Course Approach)が行われました。この研修では、ミャンマー側カウンターパートと日本の関係者が協働し、日本での学びや協議を基にプロジェクトの目標や成果の達成へ向けた具体的な戦略や活動計画を策定することを目指しました。

1月13日~25日の研修期間に、ミャンマー政府を代表して7名が参加しました。うち、ミャンマー保健スポーツ省からは2名(プロジェクト・マネジャーの立場にある公衆衛生局次長と、ミャンマー側調整担当部署である基礎保健サービス(BHS)課の副課長)が前半の1週間のみ参加し、マグウェイ地域からの5名(地域公衆衛生局の局次長と局長補佐、および3タウンシップ(Minbu、Taungdwingyi、Chauk)の医務官各1名ずつは全行程に参加しました。加えて、オブザーバーとして、JICAミャンマー事務所保健分野アドバイザー、現地プロジェクトスタッフであるプロジェクト・コーディネーターと、コミュニティ・エンゲージメント・オフィサーも全行程に参加しました。

参加者は、訪日前に本省レベル及び地域レベルのそれぞれで事前レポートをとりまとめており、研修開始後にはレポートを基に、プロジェクトの目指す成果や活動に関わるミャンマーの保健政策や保健プログラムの状況および課題の分析・整理を行いました。さらに、本邦研修を通して日本の公衆衛生行政及び政策の歩みに関する講義を受け、長野県及び佐久市、須坂市における公衆衛生向上に向けた取り組みや地域保健活動についての視察を行い、その成功要因や課題の克服への教訓を学ぶ機会を得ました。特に長野県庁では長野県の戦後から現在に至るまでの保健行政の取り組み、佐久市では佐久総合病院を中心とした農村地域保健の取り組みの歴史を学び、須坂市では長年にわたって保健補導員が果たしてきた取り組みや地域での役割を学び、保健補導員の方々と意見交換をするなど、参加者一同有意義な視察研修となりました。

参加者からは、以下の点が重要な学びとして指摘されました。
・ライフコース・アプローチの一環として、妊娠から出産・産後に至るまでの包括的な母子保健サービスの重要性
・住民自らによる効果的なヘルスプロモーションの推進(セルフ・ヘルスケア)
・保健補導員(保健ボランティア)による地域住民を巻き込んだ地域保健活動の推進
・プライマリーヘルスケアの一環として無料の健診制度の構築
・効果的な行動変容に繋がるコミュニティ啓発活動(体操、ドラマなど)
・健康かつ生産的な社会の構築には治療・ケアよりも予防を重視

日本における学び・教訓をもとに、参加者は活発な議論を重ねて活動計画を策定しました。ミャンマーに帰国後、参加者は、地域・中央両レベルのタスクフォース会議で日本での経験を報告・共有し、その成果はカウンタ-パートとの次年度の活動計画策定に活かされています。

【画像】

「日本の公衆衛生行政・政策の歩み」について大澤氏(国立保健科学院)より講義

【画像】

「UHCの実現とライフコース・アプローチ」について杉下氏(東京女子医科大学)より講義

【画像】

長野県庁をし、長野県の戦後から現在に至るまで保健行政・取り組みについて学ぶ

【画像】

佐久総合病院にて緊急ドクターヘリポートを視察

【画像】

須坂市役所にて母子手帳の交付プロセスについて説明を受ける

【画像】

保健補導員(ヘルスプロモーター)との懇談会を通じて、お互いの活動について意見交換を行う

【画像】

須坂市が開発した「須坂エクササイズ」を体験

【画像】

須坂市の保健補導員の皆さんと一緒に記念撮影

【画像】

PDMに基づき、ワークショップでの学びをもとにチームで活動計画を策定

【画像】

日本での学びに基づきチームで作成した活動計画の発表