プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)口蹄疫対策のための組織能力強化プロジェクト
(英)Project for improvement of institutional capacity for Foot-and-Mouth Disease control

対象国名

ミャンマー

署名日(実施合意)

2018年11月23日

プロジェクトサイト

ヤンゴン、マンダレー、およびその周辺地域

協力期間

2019年5月22日から2024年5月21日

相手国機関名

(和)農業畜産灌漑省 畜産獣医局
(英)Livestock Breeding and Veterinary Department(LBVD), Ministry of Agriculture, Livestock and Irrigation

背景

家畜疾病のうち、偶蹄類動物に対するウイルスの伝播力が非常に強い口蹄疫(foot-and-mouth disease:FMD)は、ミャンマーのみならず東南アジア地域においても大きな脅威であり、同国内におけるその対策の強化が求められている。口蹄疫とは偶蹄類の家畜(牛、水牛、豚、山羊等)が罹患するウイルス性急性熱性伝染病であり、感染牛は長期間役畜として使用できず、乳量の減少、仔畜の生産と発育低下を引き起こす。さらに感染牛は輸出が制限されるため、販売の機会が失われることで農家に経済的損失をもたらす。ミャンマーでは過去30年にわたり鎖国政策や軍事政権により畜産振興や家畜疾病対策が滞り、適切な口蹄疫対策が実施されなかった結果、数年おき(近年では2004年、2006年及び2009年)に口蹄疫が大流行している。東南アジア地域においては、生体牛がミャンマーからタイを通りベトナム等へと輸出されることから、ミャンマー国内の感染牛が同地域における口蹄疫感染拡大の原因の一つと考えられている。
そこで我が国は、口蹄疫発生地域周辺の牛にワクチンを接種し口蹄疫ウイルスを地理的に閉じ込める「リングワクチン」の実施が可能となる、年間100万ドーズ規模のワクチン製造、及び口蹄疫診断に係る施設及び機材の整備を目的とした無償資金協力「口蹄疫対策改善計画」(2016年~2018年)をヤンゴン市の国立口蹄疫センターに対し実施することとした。

目標

上位目標

口蹄疫防疫システムが、ミャンマー国内で強化される。

プロジェクト目標

口蹄疫防疫システムが、国立口蹄疫センター(ヤンゴン)と本事業サイトのパイロットサイトで強化される。

成果

1. 国立口蹄疫センターの職員が、ローラーボトル法で効率的に有効な口蹄疫ワクチンを効率的に製造できる。
2. 国立口蹄疫センター及び本事業サイト内の関係機関双方の職員が正確な診断と疫学調査を実施できる。
3. 本事業サイト内の畜産農家と関係諸機関との関係が強化される。

活動

0. パイロットサイトにおけるベースライン及びエンドライン調査(プロジェクト開始時6ヶ月以内&プロジェクト終了6ヶ月前)を実施する。

1.1. ワクチン製造技術に係る研修を実施する。
1.2. ワクチン品質管理技術に係る研修を実施する。
1.3. ワクチン大量生産管理技術に係る研修を実施する。
1.4. 上記1.1から1.3の活動のフォローアップを行う。
1.5. ワクチン製造活動の定期的評価を行う。

2.1. 国立口蹄疫センター(ヤンゴン)及びプロジェクト・エリア内の関係機関に適した診断技術を特定する。
2.2. 国立口蹄疫センター(ヤンゴン)及びマンダレー診断ラボにおける診断技術の研修計画を策定する。
2.3. 診断技術に係る研修を実施する。
2.4. プロジェクト・エリアにて疫学調査を実施する。
2.5. プロジェクト・エリアにて、疫学調査結果に基づくワクチン接種計画を立案する。

3.1. ミャンマーにおける口蹄疫発生状況をレビューする。
3.2. 上記活動3.1.に基づき、改善策を提案する。
3.3. プロジェクト・エリア内のパイロットサイトにおいて、家畜疾病に関する農家のニーズを調査する。
3.4. 上記活動3.3.を基に、パイロットサイトにおいて農家との信頼醸成のため、農家を対象に口蹄疫や他の家畜感染症に対する研修等を実施する。
3.5. 活動2.5.で立案された計画に基づき、プロジェクト・エリアにおいて家畜感染症に対する啓発キャンペーン等を実施する。
3.6. 畜産農家に貢献できるよう、家畜感染関連の政策や計画に対する助言を行う。

投入

日本側投入

1. 専門家(長期及び短期)330M/M

(a)チーフアドバイザー
(b)ワクチン製造
(c)ウイルス診断
(d)家畜衛生
(e)業務調整/研修
(f)短期専門家 複数名(診断技術、獣医サービス等)
(g)第三国専門家(短期専門家として派遣)

2. 機材供与

(a)ワクチン製造、口蹄疫診断に必要になる資機材
(b)車両
(c)パイロット活動地域における研修・知識啓蒙普及活動時に用いるバイク(複数台)(LBVDタウンシップ事務所で使用)

3. 本邦研修・第三国研修

相手国側投入

1. 専門家執務スペース(以下の3か所)

・国立口蹄疫センター内
・LBVDマンダレー地域事務所内
・マンダレー獣医診断センター内

2. 本事業実施に必要なカウンターパートの活動経費

3. 国立口蹄疫センター(ヤンゴン)でワクチン製造し配布するための予算