種子生産組合から感謝状が届きました!-「優良種子生産の技術指導と種子貯蔵庫の再建」への支援-

2018年7月17日

「ネパール地震復旧・復興プロジェクト」の中で実施した「優良種子の生産改善プロジェクト」では、2015年に発生した大地震の激震地であったシンドパルチョーク郡において、トウモロコシや水稲等の優良種子生産の技術指導と種子貯蔵庫の再建を支援しました。この取り組みに対し、シンドパルチョーク郡の種子生産組合であるラトプール農業協同組合からJICA専門家チームへ感謝状が授与されました。

優良種子生産の技術指導

シンドパルチョーク郡の5つの地域(注)の種子生産組合に対して座学と実地訓練を織り交ぜながら優良種子の栽培および収穫後の処置に係るトレーニングを実施しました。また、郡農業開発局の作物開発技術官に指導経験を積んでもらうため、トレーニングはJICA専門家と作物開発技術官が共同で実施しました。

プロジェクトの終了時評価では、水稲と小麦の収穫量が例年に比べおよそ2倍となったことが明らかになりました。また参加者からは、トレーニングを振り返って、「知らなかった技術を学ぶことが出来て本当に良かった、これからも新しい技術を身に着けていきたい」という声が多く聞かれ、本トレーニングを契機に地域の農業活性化が進んでいくことが期待されます。

(注)Ichok VDC(水稲、コムギ)、Kiwool VDC(水稲)、Irkhu VDC(メイズ)、Phulpingdanda VDC(メイズ)、Jethal VDC(ジャガイモ)

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実地での優良種子生産の技術指導

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郡農業開発局の作物開発技術官による圃場検査

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優良種子生産の技術指導の座学

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優良種子生産の技術指導(Kiwool)に参加したラトプール農業協同組合からの感謝状(2017年3月)

種子貯蔵庫の再建

2015年の地震により倒壊した種子貯蔵施設を、より地震に強い仕様で再建しました。同2018年2月に完成した種子貯蔵庫は、種子を良好に保管するため、
・屋上で種子が干せるように、屋上に上がる階段を設ける
・収穫した種子を種別するために、入り口前に屋根のある屋外作業スペースを設ける
・貯蔵庫へ光が入ること、温度が上昇することを避けるため、窓を無くす
といった点にも配慮しています。

引き渡し式に参加したラトプール農業協同組合の幹部であるガネシュ氏のスピーチでは、「この種子貯蔵庫によって、地域として高品質でリーズナブルな価格の種子を生産・販売することが出来るようになると確信している」との言葉が述べられ、被災地の生計回復を促進することが期待されています。

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再建された種子貯蔵庫の外観

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種子貯蔵庫のハンドオーバーセレモニー(Kiwool、2018年2月)

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種子貯蔵庫(Kiwool)の引き渡し先であるラトプール農業協同組合からの感謝状(2018年2月)

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種子貯蔵庫(Kiwool)の引き渡し先であるラトプール農業協同組合からの感謝状(2018年2月)

トレーニングの受講者によってより多くの高品質な種子が生産され、再建された強靭な貯蔵庫で良好に保管されています。プロジェクトでは、単に震災前の状態に戻すのでなく、「より良い復興(Build Back Better、BBB)」を支援しています。

【画像】「優良種子生産の技術指導・種子貯蔵庫の再建」プロジェクトのサイト位置図(シンドパルチョーク郡)