ネパール2018年経済センサスの確報結果(第七報)が公表されました

2020年9月13日

ネパールでは史上初めてとなる、すべての事業所(注1)を調査対象(注2)とする2018年経済センサス(事業所の国勢調査)が、2018年4月14日を調査期日として実施されました。その後、14か月に及ぶ集計期間等を経て、2019年7月1日に確報結果の第一報が公表されました。続いて、同年9月1日に第二報、2020年1月2日に第三報、同年5月5日に第四報、同月18日に第五報、同年6月1日に第六報が公表されこのたび、第七報(産業別)が公表されました。その概要は以下のとおりです。

1.ネパールにおける雇用者のいる事業所数は219,303事業所

2018年4月14日(ビクラム暦では2075年1月1日)現在におけるネパール全国の雇用者のいる(給与・賃金を得ている者がいる)事業所数は、219,303事業所となっています。また、雇用者数は、1,709,101人で、1事業所当たりの雇用者数は、7.8人となっています。ちなみに、日本は13.1人(常用雇用者(注3)数/常用雇用者のいる事業所)となっています。

2.ネパールにおける雇用者のいる事業所の年間給与・賃金総額は4213億ルピー(1ルピー≒¥1)

雇用者のいる事業所の年間給与・賃金総額は、4213億ルピーとなっています。これを産業(NSIC Section)別にみると、製造業(茶製造業、レンガ製造業、砂糖製造業等)が857億ルピーと最も多く、全体の20.3%を占めています。次いで、教育業(小中学校、高校、大学、専修学校、各種学校等)が685億ルピー(同16.3%)、卸売・小売業(自動車・バイク修理業含む、コンビニ、スーパー・マーケット、百貨店等)が658億ルピー(同15.6%)、金融・保険業(銀行、保険会社等)が524億ルピー(同12.4%)などとなっています。
一方、芸術・娯楽・レクリエーション業(サッカー・クラブ、フィットネス・センター、遊園地等)が20億ルピーと最も少なく、全体の僅か0.5%となっています。次いで、鉱業・採石業(石、砂、砂利、粘土等の採取)が39億ルピー(同0.9%)、上下水道業(下水処理を含む)が56億ルピー(同1.3%)などとなっています。ただし、調査対象に含まれていない経済活動が多い建設業及び不動産業を除きます。
ちなみに、日本の年間給与・賃金総額は、201兆5477億ルピー(注4)(2016年、¥1=Rs.1)で、ネパールの約480倍となっています。また、カンボジアは、903億ルピー(注5)(2011年、USD1=Rs.110)で、ネパールの約2割となっています。

3.ネパールにおける雇用者のいる事業所の雇用者1人当たりの年間給与・賃金は24万7千ルピー

雇用者1当人たりの年間給与・賃金は、24万7千ルピーとなっています。これを、雇用産業別にみると、電気・ガス・熱供給業(電力会社等)が77万ルピーで最も多く、次いで、情報・通信業(インターネット・プロバイダー、携帯電話会社等)が72万ルピー、上下水道業(下水処理を含む)が59万4千ルピー、鉱業・採石業が59万2千ルピーなどとなっています。
一方、教育業が14万ルピーと最も少なく、次いで、その他のサービス業(理容室、美容室、協同組合、協会等)が15万ルピー、農林水産業(登録された事業所のみ、果実栽培、野菜栽培、畜産等)が17万5千ルピー、芸術・娯楽・レクリエーション業が17万6千ルピーなどとなっています。
また、日本の雇用者1当人たりの年間給与・賃金は、365万4千ルピーで、ネパールの約15倍となっています。また、カンボジアは、12万8千ルピーで、ネパールの約5割となっています。

(注1)ここでいう事業所とは、固定の場所で経済活動を営み、固定的な設備を所有しているところであり、国際標準産業分類第4版(ISIC)におけるEstablishmentの定義に準じている。ネパールでは、このISICに基づいたネパール標準産業分類(NSIC)が使用されている。
一方、広義の事業所には、Fixed(固定の事業所)及びMovable(移動可能であるが、固定の場所で営業している事業所)のほか、Mobile(移動しながら営業している事業所)も含めて3種類とする場合があるが、この結果には、Fixed及びMovableのみが含まれており、固定的でないMobileは含まれていない。
また、ここでいう事業所には、会計帳簿を管理している事業所のみが対象となるので、単独事業所及び本所・本店・本社のみが含まれており、支所・支店・支社は含まれていない。
(注2)ネパール2018年経済センサスでは、次の産業に属する事業所は、国際的な実例に基づき調査対象としていないため、結果には含まれていない。農林漁業(NSIC Section A)に属する事業所のうち公的な機関に登録されていない事業所、官公庁等(NSIC Section O)、個人のホームヘルパーなどの世帯活動(NSIC Section T)及び大使館や国際機関等の外国公務の施設(NSIC Section U)。
(注3)常時雇用されている者のみで、臨時に雇用されている者は含まれていない。
(注4)本稿に掲載されている日本の数字は、すべて2016年経済センサス活動調査の全国結果による。
(注5)本稿に掲載されているカンボジアの数字は、すべて2011年経済センサス活動調査の全国結果による。

2018年経済センサスの結果は、中央や地方政府における各種政策や計画の立案に利用されるほか、大学や研究所における学術研究、民間部門における経営戦略や市場調査等に利用されます。この結果の英語版、詳細な結果、調査の概要等は、次のネパール中央統計局(CBS)等のページから参照可能です。