強震動の専門家2名がネパール入りしました

2019年5月3日

今年は少し雨季の入りが早い、と言われているネパールですが、暑い毎日が続いています。そんな中、4月27日から1週間の予定で、日本から強震動の専門家がカトマンズ入りしました。
この強震動の専門家は、プロジェクトの中で、成果2に関連する活動である「地震動の予測のための強震観測・地下構造モデルの検証」を担当しています。具体的には、カトマンズ盆地とその周辺地域の地震動予測を実施するための基礎データとして強震観測を実施しており、これにより得られた記録と他グループの成果を基に、シナリオ地震を設定して、シミュレーションを行います。
今回の訪問の目的は二つありました。一つ目は、カトマンズ盆地内10箇所に設置した強震計の定期メンテナンスと、データ収集。二つ目は、去る4月24日午前6時29分にカトマンズから西に50キロメートルほど離れたダーディンという町を震源地とするマグニチュード5.2の地震がありましたが、この地震による盆地内の各観測点での揺れの強さを確かめることでした。

4月24日の地震は、8観測点で記録されており、気象庁震度階で震度3を最大として、カトマンズ盆地内での震度が場所によって明確に異なることが明らかになりました。これは、当初の予定していた目標である、地下構造の影響による盆地内の揺れの強さの異なりを知る重要な観測結果の一つです。観測点に到着して、観測記録を確認していると、すぐに観測点の関係者や近隣住民等が集まって来ました。皆、地震時の周りの状況について、口々に伝えてきて、地震波形にとても興味を持って見入っていました。今回の最大震度を記録したタンコットでは、地震時には皆驚いて外に飛び出し、道路には人があふれ,車両が通行止めになったほどの揺れだったとのことでした。

ネパール側カウンターパートも限られた時間ではありましたが、フィールドでの活動に同行し、本プロジェクトに対する住民の興味が高いことに接することが出来ました。

プロジェクトも3年目に入り、折り返し地点を過ぎました。成果2の活動では、必要な強震観測点の構築を終えて、安定してデータを入手するためのメンテナンスと、予測へ向けての強震観測記録の分析に集中する時期を迎えています。
残るプロジェクト期間では、第一にカウンターパート側へ強震記録の防災的資源価値の重要性について認識を促し、プロジェクト終了後もネパール側カウンターパートだけで、データを安定的に取得するためのメンテナンスの方法やコスト、そのタイミングについて話し合って行きたいと考えています。

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カトマンズ盆地東側観測点(サンガ)にて、地震記録を設置観測点の学校の先生方へ説明中

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カトマンズ盆地南側観測点(ラマタール)にて、壊れたGPSケーブルを交換しました