活動状況報告(2022年7~8月)

2022年9月1日

ネパール国「教育の質の向上支援プロジェクト」(通称IMENプロジェクト)は、初等低学年児童の算数の基礎学力の向上を目指して、2019年から開始されました。プロジェクトで対象としている4つの郡からそれぞれ1つの地方政府(LG)を選び、パイロットLGとして各種活動を実施しています。

以下に、2022年7~8月に実施した活動をご紹介します。

追加TPD(Teacher Professional Development)研修の実施 [小学2年生担当教員対象]

2022年1月から3月にかけて実施されたパイロット地方政府(LG)内の小学1年生担当教員対象の算数指導に関する研修(「追加TPD研修」、5日間)に引き続き、同年7月より小学2年生担当教員を対象にした研修を開始しました。

この研修は、現地のファシリテーターが研修会の運営を主体的に行えるように計画し、また現地のカリキュラムおよび2021年に実施したベースライン調査の分析結果に基づき、内容を開発しています。研修の前半は小学2年生の指導項目(3桁までの数の概念、たし算、ひき算、かけ算、わり算)に沿って主に数と計算の指導に関する講義・演習、後半は授業研究に関する講義・演習、という構成です。

算数の指導において児童が確実に学習内容を理解できるようにするには、正解や解法を一律に教えることだけでなく、児童が「どのように」「なぜ」つまずいているかを注意深く分析して指導を工夫し、児童の誤答をあらかじめ予測するなど、児童の視点に立った授業づくりが重要です。そのため、この研修ではすべての学年に共通して、実際の指導の場面を想定した事例を多く取り入れ、「児童の誤答をよく観察すること」、「その誤答の傾向から指導をどう改善すればよいか考えること」に焦点を当てています。

参加した教員は、グループ協議や発表を通じて誤答分析や指導法について多様な意見を出し合い、考えを深めていきました。ファシリテーターが折に触れて「児童の反応を注意深く観察する」ことの重要性を説いたため、授業研究における実際の授業の観察では、積極的に児童のノートを見て回り、提示された算数の課題に対する児童の反応を興味深く観察する参加者の姿が見られました。また、授業後の協議でも、観察された事実に基づいた前向きな発言が多く聞かれました。

今後、8月下旬から9月にかけて、小学3年生担当教員対象の研修を実施する予定です。

【画像】

特定された指導上の課題について、指導方法をグループで検討

【画像】

グループで話し合った指導法を発表

【画像】

グループで話し合った指導法をロールプレイで実演

【画像】

授業での児童の反応を注意深く観察

文責:藤原 友昭・塩田 恵(株式会社パデコ)