活動状況報告(2022年11月~2023年2月)1

2023年2月28日

ネパール国「教育の質の向上支援プロジェクト」(通称IMENプロジェクト)は、初等低学年児童の算数の基礎学力の向上を目指して、2019年から開始されました。以下に、2022年11月から2023年2月に実施した活動を3回に分けてご紹介します。

校長研修(フォローアップ)TOTの実施

プロジェクトでは、2021年11月下旬から12月上旬にかけて、パイロットLG内のすべての小学校(109校)の校長を対象に各5日間の校長研修を実施し、学校改善計画(SIP)の作成方法、「児童」、「保護者」、「教員」を対象とした児童の学力向上のための活動例を紹介し、SIPの作成・改訂に活かすよう指導しました。その後に各地方で行ったモニタリングでは、教室レベルでの変化や子どもの学力向上といった成果を目に見える形で示すにはまだまだ時間がかかることがわかりました。

こうした状況を踏まえ、各学校での学力向上のための取り組みを総括しさらに活性化させる目的で、プロジェクトでは2023年3月以降に校長のためのフォローアップ研修を計画しています。その準備の一環として2023年2月12日~16日に各地域のETC(教育研修センター)教官、各郡のEDCU(教育開発調整ユニット)オフィサー、ならびに各LGのLEU(地方教育ユニット)オフィサーを対象としたTOT(教官研修)を実施しました。

このTOTでは、まず前回の研修以降盛り込まれた活動が各LGで実際にどれだけ実施されてきたか、実施されなかったのであればその原因は何なのかといった点について経験の共有を行いました。参加者によれば、例えば「児童」に関しては各学校で学びの遅い子どもたちに対する個別指導の機会を設けるなどの案があったものの、実際行うとなると時間の制約などから難しいとのことでした。「保護者」に関しては、あるLGでは既に「連絡帳」で保護者とコミュニケーションを取り始めており、さらに別の項目で述べる啓発活動「算数教材展示会」などの学校行事への参加も促されています。また「教員」についても授業研究を開始した学校や校内研修のための活動予算を確保したというLGが幾つかありました。

一方、前回の研修後、対象LGで新たに任命された小学校長が一定数いること、また前回参加者の中にも十分に理解できなかったという声があったことから、再度「授業研究」に関する講義と実習を行いました。実習では研修センターの近隣の学校にお願いして小学1年生算数の授業を観察させてもらい、特に「指導案の分析方法」、「授業観察の方法」、「授業後の協議会でのコメントの仕方」に焦点を絞って研修を行いました。さらにTOT参加者であるETC教官、EDCUオフィサー、LEUオフィサーには、上述の学校レベルでの活動をそれぞれの立場で支援し、活性化させるには何ができるかを話し合ってもらいました。

このTOTの成果は、この3月から5月に実施される校長研修(フォローアップ)で、またそれと並行して実施予定の地方モニタリングで確認する予定です。

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校長研修(フォローアップ)TOTの様子

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授業研究の様子