活動状況報告(2022年11月~2023年2月)2

2023年2月28日

ネパール国「教育の質の向上支援プロジェクト」(通称IMENプロジェクト)は、初等低学年児童の算数の基礎学力の向上を目指して、2019年から開始されました。以下に、2022年11月から2023年2月に実施した活動を3回に分けてご紹介します。

啓発活動「算数クイズ大会」の実施 [パイロットLGの教員、児童対象]

パイロットLGでは、教員や児童だけでなく地域の保護者や住民も巻き込み、地域全体で算数や教育の重要性について考える機会を設けています。その一環で、2022年12月から2023年3月にかけてバクタプール、タナフン、マホタリ、ジュムラの各地で算数クイズ大会を実施しました。

この活動の肝は学校での「算数強化月間」です。学校により環境が異なるため、どのような活動をどの頻度で行うかは各学校で計画しました。最も多かったのは、児童が授業前後の時間を活用して10-15分間程度算数の練習問題を解くというものでした。学校で扱っている教材のほかプロジェクトで開発・印刷・配布した自宅用学習教材を使うことを推奨し、クイズ大会で用いるクイズも知識だけでなく応用力を問う問題を含めました。

そうした練習成果を発揮する場として、校内クイズ大会を催した学校もありました。プロジェクトが対象としているのは小学校1-3年生ですが、4-5年生も含めて取り組んだ学校があったのは嬉しい波及効果でした。このような各学校での活動を経て、プロジェクトではLGごとに算数クイズ大会を実施し、優秀な成績をおさめた児童や学校を表彰しました。

タナフンでは2022年12月にパイロットLG内27校の児童81名(2-3年生)および30名の教員、総勢111名が参加しました。1回目は12校、2回目は15校が集まり、各回上位3校が表彰されました。クイズ問題はEducation Training Center(ETC)に登録された算数教員が起案し、プロジェクト専門家が監修したものを用いました。足し算の問題は正答が多かった一方で引き算や掛け算、割り算の問題は誤答が多かったこと、ネパール通貨単位の問題では日常生活で使われない単位は正答できない傾向がみられました。

教員には、「一連の活動をとおして児童の習熟度がわかるとともに、児童にとってはクイズを楽しみつつ実施できるので学習効果も高い」と好評でした。またLEUチーフ・オフィサーは、「教科に焦点をあてたクイズ大会をLGで実施するのは初めてでとても良い取り組み。今後は小学校低学年だけでなく4-5年生また6-8年生でも同様の催しを計画している」とコメントを寄せていました。

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予選ラウンドの様子(タナフン)

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2-3年生3名からなる学校別チーム(タナフン)

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決勝ラウンドの様子(タナフン)

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正答の集計表(タナフン)

またマホタリでも、2023年1月にパイロットLG内16校の児童48名(1-3年生)および15名の校長、16名の教員、総勢79名が参加しました。冬期休暇中で厳しい寒さだったにもかかわらず当初想定していた全員が参加したほか、任意で保護者も多く見学に来ていました。

予選ラウンドにはピパラ市長も訪問し、子どもたちがどのように計算しているかを熱心に視察していました。決勝ラウンドは校庭で大勢の観客(各校の校長、教員、保護者、会場となった学校の児童ら)が見守るなか進められました。

例えば、「15個のリンゴを3人に等しく分けると1人あたり何個もらえますか」「15にいくつかけると60になりますか」という割り算の問題に正答し、単位(年、月、週、日)、長さ、重さ、などの理解度もタナフンと比較して高かった一方で、「2、3、5を使った2桁の数をデバナガリ(ネパール語の文字)で書きなさい」という問題はどの学校もできなかったのが特徴的でした。

マホタリでは保護者の教育活動への関与や関心が低いことが課題となっていましたが、保護者の関心の高まりが感じられる嬉しい一幕となりました。

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予選ラウンド、ピパラ市長による視察(マホタリ)

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決勝ラウンドの様子(マホタリ)

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決勝ラウンドでの児童の様子(マホタリ)

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表彰式(マホタリ)