活動状況報告(2022年11月~2023年2月)3

2023年2月28日

ネパール国「教育の質の向上支援プロジェクト」(通称IMENプロジェクト)は、初等低学年児童の算数の基礎学力の向上を目指して、2019年から開始されました。以下に、2022年11月から2023年2月に実施した活動を3回に分けてご紹介します。

啓発活動「算数教材展示会」の実施 [パイロットLGの教員、保護者対象]

2023年2月には、バクタプールのパイロットLGにおいて算数教材展示会が2回に分けて実施され、各回17校(各校保護者3名及び算数教員1名)、全体で34校総勢129名が参加しました。

この活動の目的は、保護者が教員と共に教材作成に関わることで、材料確保など保護者が貢献できることを学び、作成するだけでなく展示会に参加することで算数教材への関心・理解を深め、保護者と教員の関係性をより良くすることでした。各校で身近で手に入りやすい材料を用いた教材が披露され、保護者が関わる教材展示会はこの地域で初の試みだったこともあって大いに盛り上がりました。プロジェクトで支援のもと評価基準を作成し、カリキュラムとの整合性や有用性の観点から評価した結果、各回3校を優秀校として選び表彰しました。表彰式では、LEUチーフ・オフィサーから来年度もこの活動を続けていきたいとの展望が示されました。

実施後のアンケートによると、「自宅で使わないものが教材作成に役立つことを知った」、「家庭学習にあたってゲーム感覚で学習させられるよう心がけたい」、「自分の子供だけでなく、学校が教材を準備したりまとめたりするのを支援したい」といった保護者からの声が聞かれました。教員からも「費用をかけずに教材を準備できることを学んだ」、「教師中心ではなく児童中心のアプローチをしなければならない」、「教材の準備や収集に保護者が積極的に参加するようになり、保護者との関係が良くなった」、「このプログラムは、算数教員のみならず学校と保護者の関係を改善するのに役立っている。保護者のモチベーションも上がった」と好評でした。

保護者の関心を高め参加を促すという当初の目的は達成したものの、児童に暗記・復唱させることを想定した教材が多くみられた一方で児童に考えさせる設計となっていないものが多く、教材の質と活用方法に関しては改善の余地があります。プロジェクトで支援している授業研究等を通して、今後、先生方が児童に考えさせる授業を設計していくなかでこうした教材の内容も徐々にブラッシュアップしていくことが強く望まれます。

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教材を説明する教員と保護者(バクタプール)

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教材展示の様子(バクタプール)

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教材展示の様子(バクタプール)

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教材を実演する教員と保護者(バクタプール)