プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)安全な建物建設のためのネパール国建築基準遵守促進プロジェクト
(英)The Project for Promotion of Nepal National Building Code Compliance for Safer Building Construction

対象国名

ネパール

署名日(実施合意)

2021年3月31日

協力期間

2021年3月31日から2025年5月30日

相手国機関名

(和)都市開発省都市開発建設局
(英)Department of Urban Development and Building Construction(DUDBC), Ministry of Urban Development(MoUD)

背景

2015年4月25日、カトマンズの西約76kmを震源とするマグニチュード7.8の地震が発生、この地震で約8,790人が死亡、約22,300人が負傷、約50万戸の家屋が全壊、約26万戸の家屋が損壊した 。
都市開発省(Ministry of Urban Development:MoUD)は、JICAの協力を得て「カトマンズ盆地における地震災害リスクアセスメントプロジェクト」(2015年5月~2018年4月)を実施しハザードリスクを評価。ネパール中央南部シナリオ地震が発生した場合、カトマンズ盆地では270,000棟以上(約62%)の建物が被害を受け、1,200,000人以上(人口の約42%)の住民が避難を余儀なくされるとの分析が示され、今後の地震によるリスクを軽減するためには建築物の耐震化等が重要であることが明らかになった。将来の地震発生によるリスクに直面しているネパール政府は「安全な建物建設のための国家行動計画(National Plan of Action for Safer Building Construction:NaPA)」を作成中であり、20年以内に耐震性の高い建物を主流にしようと取り組んでいる。
ネパールでは建築基準(National Building Code:NBC)のうち、耐震基準に関わるNBC105が2020年8月に改定され、新築建物に対する規制強化が図られつつある。一方、2015年の震災以降は建築構造の主流が組積造から鉄筋コンクリート造に代ってきており、建築主や施工者において法令遵守の意識や知識不足から図面と異なる施工がされてしまうことも多く、行政の設計・施工検査能力、建築技術者の施工監理能力、施工業者の品質管理能力や関係者の啓発等が課題となっている。
かかる状況を踏まえ、ネパール政府より支援の要請を受け、地震に対して安全な建物建設に向けた建築基準遵守メカニズムの構築を目的とした技術協力プロジェクトを実施するものである。

目標

上位目標

カトマンズ盆地においてネパール国建築基準を遵守した地震に強い安全な建物の建設が推進される
(指標)施工段階におけるネパール国建築基準遵守率が向上する

プロジェクト目標

カトマンズ盆地の地震に対する安全性に係るネパール国建築基準遵守メカニズムが改善される
(指標)更新された手順書やガイドラインを活用し、建築確認、検査・監理を確実に実施している建築物の割合(建築法2055(1988)第8条による建物区分B・Cの鉄筋コンクリート造)が増加する。

成果

・ネパール国建築基準遵守に向けた基本方針を含むアクションプランの策定
・ネパール国建築基準遵守のための「建築許可実務手順書」の改善
・建物建設に関わる関係者の研修メカニズムの構築
・安全な建物建設のための情報発信・啓発の強化
・安全な建物建設のためのインセンティブメカニズムの改善

活動

1)ネパール国建築基準遵守に向けた基本方針を含むアクションプランの策定

1-1.ベースライン調査とキャパシティアセスメントの実施
1-2.ワーキンググループの設置とアクションプランの作成
1-3.アクションプランのレビュー
1-4.アクションプランの改訂

2)ネパール国建築基準遵守のための「建築許可実務手順書」の改善

2-1.「建築許可実務手順書」モデル案の策定
2-2.「建築許可実務手順書」モデル案のためのガイドラインの策定
2-3.施工検査、施工監理、品質管理のためのマニュアルの策定/改善
2-4.パイロット自治体による既存の「建築許可実務手順書」の改善
2-5.パイロット自治体による改善した「建築許可実務手順書」の適用
2-6.「建築許可実務手順書」モデル案の改訂
2-7.「建築許可実務手順書」モデル案の最終化
2-8.「建築許可実務手順書」モデルの他自治体への普及

3)建物建設に関わる関係者の研修メカニズムの構築

3-1.成果2の資料を活用したTOTプログラムと研修テキストの作成
3-2.研修講師(マスタートレーナー)育成トレーニングの実施
3-3.マスタートレーナーを動員したレベル別研修の実施
3-4.自治体におけるOJTの実施
3-5.育成人材のインベントリシステムの構築
3-6.ネパール側による研修の実施

4)安全な建物建設のための情報発信・啓発の強化

4-1.ネパール国内の意識調査
4-2.普及啓発方針の策定
4-3.普及啓発施策案の作成
4-4.メディアを通じた普及啓発
4-5.建物の安全性に関するセミナー・講習会の実施

5)安全な建物建設のためのインセンティブメカニズムの改善

5-1.ネパール国外のインセンティブメカニズムの状況調査
5-2.インセンティブメカニズム方針の策定
5-3.インセンティブメカニズム案の作成
5-4.インセンティブメカニズム実現へ向けた政策文書作成
5-5.パイロット自治体でのインセンティブメカニズム実装

投入

日本側投入

1)専門家派遣(合計約90MM)
・総括/建築行政
・建築施工
・施工検査/モニタリング
・建築情報管理
・建築構造/設計審査
・建築社会調査
・住宅政策/住宅金融
・情報公開・啓発
・能力強化研修
2)本邦研修
3)機材供与(非破壊検査機材)

相手国側投入

1)カウンターパートの配置
2)設備・施設(執務室)
3)既存データ(申請書類、手順書、施工業者データ等)の共有
4)運営・維持費