混植モデルで活発な植林活動をめざして

2016年6月9日

JICAは、安定した電力供給を進める国家電力公社(ANDE)と3年前から「イグアス湖流域総合管理体制強化プロジェクト」を実施しています。水力発電機能を確保するためには、十分な水量の確保のためには、豊かな森が必要となりますが、ここ数十年、森林伐採が深刻化しており植林活動が重要となっています。政府は、土地所有者に法令によって湖岸から最大100メートルを在来樹種による沿岸植林を義務付けています。しかし、政府が指定する在来樹種は、成長が遅いことや植林活動にかかる経済的な負担などの理由で、植林活動に興味がある農家の間でも活動が思うように進んでいません。
このような植林活動の問題を解決するべく、プロジェクトは国立森林院(INFONA)から特別許可を得て、イグアス湖流域の大農の私有地にモデル圃場を設置し、在来樹種と沿岸植林には禁止されている外来樹種(この場合ユーカリ)を一列ずつ植えて成長を観察する混植の試験を実施しています。混植試験2年後、外来樹種は10メートルにも達し、成長の遅い在来樹種も順調に成長し2メートルほどになりました。この結果から、土地所有者は外来樹種を木材として販売する経済的利益も得ながら、少ない負担で本来の在来種による森を回復する混植モデルができました。
今後は、混植モデルから得た試験データを活用し、プロジェクトが政府機関に規制を少しでも緩和するよう働きかけ、農民の負担を少なくすることで、イグアス湖流域での植林活動が活発になることが期待されます。

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モデル圃場で、混植試験結果を説明する職員。

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植え付け当初の様子

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試験開始から1年後の様子。外来樹種が4mほど、在来樹種も1mほどに順調に成長しています。

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試験開始から1年半後の様子。外来樹種が8mほど、在来樹種も1.5mほどに順調に成長しています。

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試験開始から2年後の様子。外来樹種が10mほど、在来樹種も2mほどに順調に成長しています。