バナナの作物残留試験が本格的に始動

2022年8月23日

パラグアイ産バナナは、2021年の生産量が約97,470トン(MAG農牧統計局データ)であるのに対し、輸出量は約58,453トン(BCP国際貿易局データ)と約60%を占める輸出農産品でありアルゼンチンなどに輸出されています。しかし、輸入時検査で農薬残留が問題となることがあり、ゴマと同様に適切な使用基準と残留基準の設定が課題となっていました。

ゴマについては、SENAVE-DICAO、SENAVE研究所及びIPTAが実施した作物残留試験を基に、国内初となるクロルピリホスの残留基準値が2021年に制定されましたが、その試験方法をバナナに応用して試験実施プロトコールを作成し、これまでにIPTA-Caacupéのラボラトリーで無菌播種による育苗を行ってきました。これらが適当な大きさに生育したことから8月3日から19日にかけて8カ所の圃場で植え付けが行われ本格的な試験がスタートしました。

試験圃場は、バナナの生産地域であるSan Pedro県、Cordillera県、Guairá県、Misiones県において、IPTAの試験場5カ所(Choré、San Juan Bautista、Caacupé、Natalicio Talavera、Eusebio Ayala)、2つの農業高校(Escuela Agrícola de Villarrica、Escuela Agrícola de Caazapá)の農場及び民間農場1カ所が選定されており、各圃場においては試験対象とされた9農薬(注)ごとに区画を整備し必要な数の苗が植え付けられました。

今後は、IPTAが適切な育成管理を施し、来年2月から3月にかけて収穫に適した大きさの実がなる見込みです。プロトコールに従って適切な時期に農薬を散布し、休薬期間の後にサンプリングしてSENAVE研究所において残留農薬検査を行い、DICAOによるデータ解析により基準を策定する予定としています。

(注)試験対象9農薬
Acetamiprid、Imidacloprid、Carbaril、Cypermetrina、Ciproconazol、
Thiametoxam、Propiconazol、Tebuconazol、Bifentrin

(略語)
MAG:農牧省
BCP:パラグアイ中央銀行
SENAVE-DICAO:国立植物・種子品質・防疫機構-品質・食糧安全・有機農業局
IPTA:パラグアイ農業技術院

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ラボラトリーでのバナナの無菌播種(IPTA-Caacupé/Cordillera県)

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ラボラトリーでの苗木栽培(IPTA-Caacupé/Cordillera県)

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圃場への苗木移送(IPTA-Caacupé/Cordillera県)

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区画設定作業(IPTA-Natalicio Talaver/Guairá県)

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植え付け作業(農業高校の農場/Guairá県)

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作業終了(農業高校の農場/Guairá県)