プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)栄養改善アドバイザー
(英)Advisor for the Improvement of Nutrition
(西)Asesor para el Mejoramiento de la Nutrición

対象国名

パラグアイ共和国

協力期間

2021年10月9日~2023年10月8日

相手国機関名

(和)厚生省非感染性疾患監視課及び国立食品・栄養院
(英)Department of Vigilance of the Non-Communicable Diseases, and National Institute of Food and Nutrition, Ministry of Public Health

背景

パラグアイでは、経済成長に伴う「栄養転換(低栄養から過剰栄養、非感染性疾患(以下、NCDsという。)の増加への移行)」、「二重負荷(低栄養と過剰栄養が同時に存在している状態)」といった新たな課題に直面しており、循環器疾患、がん、糖尿病、慢性呼吸器疾患等のNCDsによる死亡が全体の死因の74%を占めている。また100,000人当たりのNCDsによる死亡者数は2016年で506.2人と、北米・中南米32か国中10位を占め、地域内でも高い水準にある(WHO、2016年)。パラグアイでは、30代からNCDsに罹患するケースも多く、医療費負担の増加に伴う国家及び個人の経済的損失に繋がっている。生活習慣病等のNCDsが増えている原因の一つとして、幼児期からの運動不足、栄養知識の不足による栄養の偏りがあり、幼児期からの栄養状態の改善が必要である。

当国の日常的な食事は、①糖質同士の組合せが多い、②肉料理や揚げ物等、油や塩が多く使われている、③野菜・果物の摂取不足、④デザートや飲み物に大量の砂糖が使用されている等、糖尿病や肥満等の生活習慣病の原因を引起こしやすい食生活が特徴として挙げられる。こうした食生活は幼児期から常習化しており、幼児の過体重と肥満は、摂取エネルギーの過剰、食事バランスの悪さ、運動不足等から生じ、幼児時の肥満は早期の成人肥満に移行しやすく、糖尿病や高血圧等の疾患の原因になりうる。それらの病気は動脈硬化を促進し、将来的に心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクを高めるため、幼児時からの食事の栄養バランスの改善や運動を学校や家庭で促進し、幼児期からの過体重や肥満を予防することが重要である。この問題に取り組むべく、「NCDsの予防と管理に向けた国家アクションプラン2014-2024」や「肥満の予防と管理のための国家戦略実行計画2015-2025」を通じて、DVENTは目標設定やモニタリングを実施しており、特に学齢期の児童を優先すべき介入対象と位置付けている。

かかる状況に鑑み、栄養改善に係る戦略の策定支援、学校給食や校内売店で提供される食事メニューの評価・改善、学齢期の児童向けの栄養食品ガイド等の啓発普及教材の作成支援や広報戦略強化等を通して、小児の健康促進や将来的な生活習慣病の減少に貢献する専門家の派遣がパラグアイ政府から要請された。

本専門家はNCDsの原因の一つとなる肥満の予防を促進するために、DVENT及び国立食品・栄養院(以下「INAN」という。)職員への政策立案支援を行う他、学校現場における栄養改善や運動促進、栄養教育教材の作成支援を行うことを目的として派遣される。

目標

上位目標

新たに全国の学齢期の児童の過体重・肥満の減少に貢献する戦略・方針が策定され、対象地域を拡大して実施される。

プロジェクト目標

関係機関による学齢期の児童の過体重・肥満の減少に貢献する戦略の実施が強化される。

成果

成果1:学齢期の児童について、肥満児減少のためのDVENTによる国家戦略への提言がなされる。

成果2:モデル校にて、学校給食や校内売店等、学校現場における食事や間食(補食)の提供に関し、メニューの栄養改善が図られる。

成果3:既存の栄養教育教材の他、「食品代替ガイドブック」等も活用した健康的な食事や運動の促進に関する周知・広報について、既存教材の電子化やSNS等も活用したDVENT/INANの新たなヘルスプロモーション戦略が立てられる。

活動

活動1-1 学齢期の児童の栄養教育、運動促進に関する知識の最新化と能力強化を目指し、DVENT及びINAN職員に対する研修を実施する。
活動1-2 学齢期の児童の過体重と肥満の問題に対処するため、厚生省の短・中・長期的な方針及びマルチセクターな国家戦略の策定を支援する。

活動2-1 関係機関と協議の上、アスンシオン及び近郊のモデル校を選定し、学校給食や間食(補食)また校内売店で提供される食事メニューの見直しと評価を行う。
活動 2-2 学齢期の児童向けの「栄養食品ガイド」の作成を支援する。
活動 2-3 2-1を踏まえ、学校で提供される食事メニューの改善・管理システム強化に向けた提言を行う。

活動 3-1 同国で作成・活用されている栄養教材を把握する。
活動 3-2 栄養教育に係る広報戦略の一環として、C/P機関と共に学齢期の児童の健康的な生活(食育と適度な運動)を促進するプロモーション計画を作成する。
活動 3-3 電子媒体の活用も考慮しつつ、食品に含まれる栄養価やその割合、国内で入手が容易且つまたより栄養価の高い食材に代替できる食品を提示した代替食品・メニューに関する学齢期の児童向けの「食品代替ガイドブック」の策定を支援する。
活動 3-4 健康的な食事や食習慣、運動の促進に関する、DVENT/INANのヘルスプロモーション戦略に対して助言・指導を行う。

投入

日本側投入

日本人専門家、プロジェクト実施に係る費用

相手国側投入

プロジェクト実施に必要な人材配置、プロジェクト事務所及び執務環境、専門家及びC/Pの移動手段、ローカルコスト(C/P旅費、燃料費、光熱費、活動費、他)、プロジェクト実施に必要な情報やデータの提供