パイロットサイトでの障害平等研修の開催

2022年5月5日

4月25日から28日にかけて、パイロットサイトのコロネル・オビエド市とビジャリカ市を訪問しました。昨年12月に訪問し、関係者と話し合う中で、「障害者のインクルージョンを進めるにあたり、プロジェクトに関わる人たちが、障害に関する共通理解を持つことが大切」「プロジェクトのフェーズ1終了後、自治体の関係者も変わっているので、改めて障害平等研修をするのが良い」という意見が出たことをふまえて、障害平等研修を実施するためです。また、合理的配慮や障害のある人とのコミュニケーションにおいて大切なことなどに関する研修も併せて開催しました。

障害平等研修では、障害のあるファシリテーターとの対話を通して、障害とは何かという気づきや、障害をなくすための行動を促します。コロネル・オビエドでの障害平等研修のファシリテーターは、同市の国家障害者人権庁(SENADIS)支所職員のマルタさん。コロナウイルス感染の影響下、3年ほど研修を実施していなかったため、久しぶりで緊張したとのことでしたが、障害平等研修の経験豊富なスルマさん(SENADIS地方分権局長)のサポートを受けながら、ファシリテーターを務めました。

約30名の参加者の中には、身体、視覚、聴覚の障害のある人も。参加者からは「自分は事故で車いすを使うようになるまで、障害について考えたことはなかった。視覚障害のある人をサポートする時も、あまり考えずに急に腕をつかんでガイドしようとしていたけれど、この研修で、まず本人に話しかけて必要なサポートを聞くことが大切と気づいた」という感想や、「ろう者の自分にとって、手話通訳者がいて、わかりやすいパワーポイントの資料を使う説明はとてもわかりやすかった。この研修を通して、自分の権利について初めて理解することができた」という意見がありました。

もう1つのプロジェクトサイト、ビジャリカで開催された障害平等研修では、地域のボランティアグループのメンバーのフリオさんが、メインのファシリテーターを務めました。参加者から、「より多くの人がこの研修を受ける必要がある。インクルーシブな文化を組織や社会の中で作っていくためにとても大切だと思う。」「パラグアイには、物理的なアクセシビリティ関する法律はあるが実践されていない。公的機関でも十分に守れていないので、そこから変えていかなくては。」とのコメントがありました。

障害のあるファシリテーターが自分たちの地域で研修を実施することは、地域の人たちにより多くの気づきをもたらし、インクルーシブな社会づくりに向けた行動を起こすきっかけになることが期待されます。本プロジェクトでは、フェーズ1(2016~2018年)に育成された障害平等研修ファシリテーターの活躍を支えるとともに、新しいファシリテーターの育成にも取り組みたいと考えています。

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コロネル・オビエド市での障害平等研修(正面左からマルタさん、スルマさん、手話通訳者)

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ビジャリカ市での障害平等研修(手前が左からフリオさん、スルマさん)