プロジェクトサイトで進む インクルージョンに向けた取り組み

2022年7月5日

6月28日から7月1日にかけて、プロジェクトサイトの地方都市コロネル・オビエドとビジャリカを訪問しました。12月、4月に続く三度目の訪問です。主な目的は、自治体関係者に対する研修の実施と、市民団体や自治体、公的機関の代表が形成するインクルージョン推進ネットワークとの意見交換です。

自治体関係者の理解を深める研修

まず、コロネル・オビエドでは、カアグアス県庁を会場に、障害平等研修(DET)を行いました。同県では、コロネル・オビエドに加え、ヌエバ・ロンドネスという自治体にも障害人権事務局が設置されました。今回の研修には、両自治体の関係者のほか、県庁の職員やソーシャルワーカーも参加し、SENADISコロネル・オビエド支所職員のマルタ・アギレラさんのファシリテーションのもと、障害とは何か、障害はどこにあるか、ということを話し合いました。

4月にDETを開催した時に比べ、ずっと自信を持って堂々としていたマルタさん。4月以降、大学等でDETを実施し、練習を重ねてきたとのこと。研修の最後に、自身の内部障害についても触れ、見えない障害の存在について、そして、障害があっても機会があれば社会で活躍できることを自身の経験を交えて語りました。

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DETファシリテーターのマルタさんと参加者

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DET参加者

また、同じ会場で、障害者人権事務局の設置を定めた法律の内容に関する研修も行い、同事務局の役割、合理的配慮などについて、SENADIS地方分権局長のスルマ・フェレイラさんが説明しました。参加者からは、有益な学びになったという感謝の声と、関係機関と協力して責任を果たしていきたいという意見が聞かれました。

さらに、ビジャリカでも障害者人権事務局をはじめとする自治体関係者を対象に、上記の法律について理解を深めるために研修を行いました。ビジャリカの位置するグアイラ県内では、6つの自治体に同事務局が設置されており、全自治体から参加がありました。このように関係者が一堂に会したのは初めてとのこと。障害者のインクルージョンを進めるために必要な予算が配賦されていないなど、それぞれの課題を抱えていますが、少しずつ前進していこうという意志が表明されました。

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意見を述べる自治体代表者

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研修の様子

インクルージョン促進のためのネットワークとの活動

コロネル・オビエドとビジャリカには、それぞれの地域で障害者のインクルージョンを進めるために発足したネットワークがあり、SENADISをはじめとする公的機関の地方支所、各自治体の障害者人権事務局、障害者団体やその他の市民団体が参加しています。今回の出張では、各ネットワークのメンバーと話し合う場をもち、コミュニティに根ざしたインクルーシブな開発の考え方を紹介し、今後の活動の方向性などについて話し合うことができました。プロジェクトサイトで、多様な関係者が参加するネットワークの活動が始まりつつあります。

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コロネル・オビエドのインクルージョンネットワーク

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ビジャリカのネットワーク