プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)障害者の社会参加促進アドバイザー(フェーズ2)
(英)Advisor on the Promotion of Social Participation of Persons with Disabilities(Phase II)
(西)Asesor para la Promoción de la Participación Social de las Personas con Discapacidad(Fase II)

対象国名

パラグアイ共和国

協力期間

2021年10月26日~2023年10月25日

相手国機関名

(和)国家障害者人権庁
(英)National Secretary for the Human Rights of Persons with Disabilities(SENADIS)

背景

WHOによると世界の全人口の15%が障害者であると推定されている。パラグアイにおいては2012年の国勢調査の結果によると、全世帯の29.5%が「自身の世帯に障害者が少なくとも1人はいる」状況であり、都市部に比べ地方部のほうがその割合は多くなっている。障害者、特に地方において、教育、保健、雇用、基礎的社会サービスへのアクセスが著しく乏しく、貧困と社会的排除に直面している状況にあると考えられる。このような状況下、パラグアイは2008年に障害者権利条約を批准し、2012年には障害分野の調整及び監督を担う政府機関として国家障害者人権庁(Secretaria Nacional por los Derechos Humanos de las Personas con Discapacidad:SENADIS)を設立し、政府として障害分野の課題解決に取り組んでいる。

かかる状況下、パラグアイ政府は日本国政府に対し、障害者の社会参加促進に係る政策・事業形成・実施に関するSENADISの能力強化のための専門家の派遣を要請し、個別専門家「障害者の社会参加促進アドバイザー」が派遣された(2016年8月~2018年8月)。同事業成果として、1)障害者の社会参加のために必要な情報取集及び課題の整理、2)SENADISが実施する事業・サービスの向上及び障害主流化活動への助言、3)障害啓発活動による関係者の障害理解への取り組み促進が達成され、それら成果を継続・普及させるために「SENADIS事業に関する提言書」、「障害者のための物理的アクセシビリティ基礎ガイドライン」、「障害平等研修ファシリテーターマニュアル」、「コロネル・オビエド市におけるCBID報告書」等の各種資料が作成された。同事業終了時には、今後パラグアイで取り組むべき課題として、1)格差の是正(首都圏と地方の格差、機能障害の種類・程度による格差)、2)当事者運動の促進による社会的障壁の除去へ向けた取り組みが挙げられている。

これらの課題を解決すべく、SENADISは地方分室が適切に機能することを緊喫の課題とし、上述個別専門家事業の成果であるCBIDの実施と物理的アクセシビリティの改善を地方に展開するための技術的助言を行う専門家の派遣を我が国に要請した。

また、中南米地域において、障害者の自立生活に関する域内協力が進んでいる状況を踏まえ、本案件では、自立生活運動を推進し、自立生活センター設立に向けた障害者の能力向上に取り組む。

目標

上位目標

障害者の社会参加が、アクセシビリティの改善によって効果的に実現する。

プロジェクト目標

パイロットサイトにおいて、障害者の基本サービスへのアクセスが改善する。

成果

成果1.パイロットサイトにおいて、地域に根差したインクルーシブな開発(Community-based Inclusive Development:CBID)を実施するための障害者支援事務局の能力が向上する。

成果2.パイロットサイトにおいて、障害者支援事務局と障害者や多様な組織との協力により、物理的環境アクセシビリティが改善される。

成果3.自立生活センター設立に向けて、障害者の能力が向上する。

活動

活動0-1.基礎サービスへの障害者のアクセスに関する現状分析及び課題整理
活動0-2.活動0-1の結果を踏まえ、専門活動計画(Work Plan)を作成
活動0-3.専門家活動計画のSENADISによる承認

活動1-1.パイロットサイトの選定
活動1-2.パイロットサイトにおける、リーダーの選出及び育成
活動1-3.パイロットサイトの障害者支援事務局における障害平等研修の実施
活動1-4.パイロットサイトの障害者のニーズに基づいたCBID活動領域の選定
活動1-5.障害者とその家族に有益なインクルーシブな開発に関する資料の作成
活動1-6.CBIDの手法を用い、パイロットサイトの障害者支援事務局強化のためのアクションプランの作成

活動2-1.パイロットサイトの選定
活動2-2.パイロットサイトにおける、障害当事者を中心とした物理的アクセシビリティ監査員育成研修の実施
活動2-3.物理的アクセシビリティ基準改訂版に基づく、物理的アクセシビリティ基礎ガイドラインの見直し
活動2-4.パイロットサイトにおける、「障害者のための物理的環境へのアクセシビリティに関する法律」(法令4934/2013)に則した市条例制定に向けた取り組み

活動3-1.自立生活の理念や基本について、活動の中心となる障害者の理解深化
活動3-2.障害者及びその他の地域住民に対する、自立生活に関する啓発
活動3-3.ピアカウンセリングの実施
活動3-4.パーソナルアシスタンスを開始

投入

日本側投入

日本人専門家、プロジェクト実施に係る必要経費

相手国側投入

プロジェクト実施に必要な人材配置、プロジェクト事務所及び執務環境、専門家及びC/Pの移動手段、ローカルコスト(C/P旅費、燃料費、光熱費、活動費、他)、プロジェクト実施に必要な情報やデータの提供