国際ワークショップ「地震直後におけるリマ首都圏インフラ被災程度の予測・観測のための統合型エキスパートシステムの開発の進展」を開催しました。

2022年8月10日

現地時間2022年8月10日に国際ワークショップ「地震直後におけるリマ首都圏インフラ被災程度の予測・観測のための統合型エキスパートシステムの開発の進展」をリマ市コンベンションセンターにて開催しました。本ワークショップは、プロジェクト開始以降約1年となる現時点でのプロジェクトの取組みや社会的な研究意義を現地関係者や一般市民向けに幅広く伝えることを目的としたものです。12名の本邦研究者をはじめとした両国プロジェクト関係者だけでなく、省庁・自治体の防災関係職員や研究者等、100名を超える参加がありました。

冒頭、ペルー国立工科大学日本・ペルー地震防災センター(UNI-CISMID)フェルナンド・ラザレスセンター長、ウィルフレド・グテレスUNI土木工学学部長、アルトゥロ・タジェドUNI副学長、マキシモ・アラヤ住宅建設衛生省都市計画長、片山和之ペルー駐箚日本国特命全権大使、中川岳春JICAペルー事務所所長の挨拶が行われたのち、ペルー側研究代表者であるカルロス・サバラ教授(UNI-CISMID)からプロジェクトの概要説明がなされ、改めて研究目標が共有されました。

本プロジェクトでは研究対象に合わせて6グループに分かれており、両国の各グループリーダーから研究成果や今後の計画が発表されました。地震解析システムの改善を行う地震グループ(G1)からは、長周期地震動を観測するために本プロジェクトで本邦調達した加速度計や地震計等のテスト結果が説明され、CISMIDがもつ地震観測ネットワークを拡充するため、今後、プロジェクトサイトに同機材を設置していく計画が発表されました。津波グループ(G2)では、今回のプロジェクトで機材供与したドローンを活用しプロジェクトサイト内の一部地域の建物を3Dモデル化しております。津波が発生した際の浸水予測シミュレーションが動画を用いて発表されました。地震直後の建物・インフラの被災度評価を行う建物グループ(G3)・インフラグループ(G4)では、これまでの脆弱性評価に係る情報収集・分析結果の発表とともに、今回視察したプロジェクトサイトの建築様式や上下水道施設・道路状況を踏まえたセンサー設置等に関する今後の計画がわかりやすい言葉で伝えられました。G3の日本側グループリーダーであり、本プロジェクトの日本側研究代表者である楠浩一教授(東京大学)から、本プロジェクトがいかにペルーの社会に貢献するか、研究の社会的意義が述べられたことも印象的です。情報グループ(G5)は、各グループからのアウトプットを統合・整理し、情報発信を行うグループです。他グループと連携した災害への暴露状況を示すデータの整備状況や、航空写真・衛星画像を用いた建物属性を推定するAI手法、建物の損傷度合いの推定手法などが紹介されました。人材育成グループ(G6)は、本プロジェクトで開発されるエキスパートシステムがペルー防災関係者に適切に使用されるよう人材育成を行うとともに、一般市民の防災対応能力向上を目指すグループです。防災関係者への研修手法やプログラム、今後の研修計画が紹介されました。

今回のワークショップは平日夕方からの開催となりましたが、仕事後にかけつける人の姿が印象的でした。また、3時間を超える長丁場ではありましたが、大変興味深い内容であったとのお言葉を関係者から頂き、成功裏に終えることができました。1963年に防災分野(地震工学)の研修員が初めて日本に派遣されており、来年2023年はペルー防災協力60周年の記念すべき年となります。ペルーにおける防災協力の節目となる来年に向けて、引き続き、ワークショップを定期的に継続するとともに、対象を絞ったより専門的な人材育成も行う予定です。

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両国の関係機関代表者集合写真

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発表の様子

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発表の様子

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ワークショップ会場風景

【画像】関係者集合写真