第3回合同調整委員会を開催しました

2021年6月16日

2018年8月にスタートした「フィリピンにおける狂犬病排除に向けたワンヘルス・アプローチ予防・治療ネットワークモデル構築プロジェクト」は、フィリピン保健省熱帯医学研究所や国立サンラザロ病院らを相手国機関として、大分大学のチーフアドバイザーおよび長期専門家、短期専門家、さらに北里大学、国立感染症研究所、東北大学、宮崎大学から各1名の短期専門家と業務調整員の総勢8名が、地球規模課題対応国際科学技術協力(通称SATREPS)の枠組みのもと、狂犬病対策の社会実装を目指して研究活動を実施しています。

【画像】JICAの無償資金協力により設立された熱帯医学研究所は、2021年4月に40周年を迎え、これまでの歩みを紹介するバナーが正面玄関そばに展示されています。

新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年3月以降日本人専門家は日本への一時退避を余儀なくされましたが、オンラインストレージサービスやオンライン会議システムなどのツールを活用しつつ、範囲が限定されながらも研究活動を継続しました。

2020年12月にヒト狂犬病研究担当の長期専門家が再赴任、2021年4月には業務調整員が新たに着任し、現地での活動が再開しました。

また2021年6月16日に、プロジェクトの実施機関であるフィリピン保健省疾病予防対策局、熱帯医学研究所、国立サンラザロ病院、農業省畜産局、在比日本国大使館、JICA本部及びフィリピン事務所、日本医療研究開発機構、日本人専門家などフィリピンと日本から52名が出席し、Web会議システムによる第3回合同調整委員会が開催されました。

【画像】Web会議システムによる委員会参加者

会議では、中部ルソン地域動物疾病診断検査ラボ担当官によるイヌ狂犬病診断法の進捗や成果報告に始まり、ワンヘルスに基づいた狂犬病ネットワークモデル構築について、ブラカン州政府獣医局担当官による同州で実施されたストロー法(注1)と簡易診断キット(注2)使用に関するトレーニングや州内の各自治体との会議等の活動報告や、熱帯医学研究所の研究者によるコミュニティ調査結果報告、さらに農業省畜産局担当官によるサーベイランスとアウトブレイク・リスポンスの改善を目的とした狂犬病データ共有システム(RaDSS)(注3)の開発状況について報告がされました。

今後も、プロジェクトは引き続きオンライン会議システムの活用等の工夫を重ねながら、フィリピン政府の目標である2030年までの狂犬病排除のための施策実施への貢献を目指して活動に取り組んでいきます。

(注1)従来の検体採取法と違い、簡便かつ安全に動物脳検体を採取する方法
(注2)特別な検査機器が不要で、どこでも簡単に狂犬病検査ができる簡易診断キット
(注3)狂犬病犬発生情報を迅速かつ、わかりやすく政府関係者や一般人にインターネットを活用して情報共有するツール