プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)バンサモロ自治政府能力向上プロジェクト
(英)Capacity Development Project for Bangsamoro

対象国名

フィリピン

署名日(実施合意)

2019年6月17日

協力期間

2019年7月25日から2022年12月31日

相手国機関名

バンサモロ暫定自治政府(BTA)

背景

40年以上にわたり紛争が続いたフィリピン共和国ミンダナオ島西部及びスールー諸島のムスリム・ミンダナオ自治地域(以下、「ARMM」という。)において、2014年3月、当国政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF:Moro Islamic Liberation Front)の間で包括和平合意文書が署名され、バンサモロ自治政府の設立が合意された。そこから4年が経過した2018年7月26日、自治政府の設立に必要となる「バンサモロ基本法(BOL:Organic Law for the Bangsamoro Autonomous Region in Muslim Mindanao)」が大統領により承認された。2019年1月21日及び2月6日にはバンサモロ自治政府の領域を確定するための住民投票が実施され、ムスリム・ミンダナオ・バンサモロ自治地域(BARMM:Bangsamoro Autonomous Region in Muslim Mindanao)が確定し、2019年2月22日にバンサモロ暫定自治政府(BTA:Bangsamoro Transition Authority)が発足し、今後、2022年のバンサモロ自治政府設立に向けた準備が進む予定である。加えて、BTAの設立とともに、MILF構成員の武装解除、社会復帰等を含む正常化プロセスが進行することになるため、4万人を超える構成員が社会復帰を行うと見込まれている。
JICAは、2013年から技術協力「バンサモロ包括的能力向上プロジェクト」(以下、「CCDP」という。)を通じて、バンサモロ自治政府の設立を見据えた制度・組織構築と人材育成に関する支援を法案策定や開発プログラムの特定・調整等を行うバンサモロ移行委員会(BTC)及びARMM政府を対象に行ってきた。
一方で、これまで行政機関として機能してきたARMM政府の多くの機能がBTAに移行されると考えられているが、法律上はBTAの設立とともに改廃されることから、行政サービスが滞ることが懸念される。BTAを行政機関として機能させ、行政サービスが滞りなく行われることが、BARMM地域の安定にとって喫緊の課題となっている。また、正常化プロセスの進行に伴い社会復帰する元MILF構成員を受け入れるコミュニティやこれまでの紛争で影響を受けたコミュニティの復興も喫緊の課題となっている。こうしたミンダナオにおける平和と安定は、当該地域・国のみならずアジア全体の平和と安定に寄与する。
本事業では、BTAの行政管理能力強化を支援することで、2022年に設置される予定のバンサモロ自治政府に引き継がれた人材が、プロジェクトで得た知見を活用することに貢献するものである。

目標

上位目標

バンサモロ自治政府に引き継がれた人材がプロジェクトで得た知見を活用する

プロジェクト目標

BTAの行政管理能力が強化される

成果

1.BTAの人材・組織の能力が強化される
2.BTAの農業分野の生計向上活動が整理され強化される

活動

活動1

STEP1

1-1.移行計画の実施状況の確認、他ドナーのBTAに対する支援に係る情報収集を行う
1-2.BTA職員の行政能力開発に係る試行研修を行う
1-3.BTAの人材資源開発に係る調査を実施する
1-4.上記活動を通じて得られた結果を基にStep2の実施計画を作成する
1-5.BTA職員に対する必要な支援を行う

STEP2(STEP1に基づきレビューを行う)

1-6.特定の省庁や研修内容について研修ニーズ調査を行う
1-7.STEP2における詳細の能力開発プログラムを策定する
1-8.上記研修プログラムの実施を行う
1-9.研修のモニタリング・評価を行い、研修プログラムの修正を行う
1-10.BTA職員に対する必要な支援を行う

活動2

2-1.陸稲の普及活動の試行をCCDP事業地の近隣バランガイで行う
2-2.パイロット事業に向けたサイト選定、ニーズ調査、サイト調査、裨益者選定、ベースライン調査を行う
2-3.LGUの農業普及員を含むBTA職員や農業者に対する稲作中心の営農の技術研修を行う
2-4.エンドライン調査を行う
2-5.フォローアップ活動(バンサモロ包括的能力向上プロジェクト(CCDP)の農業及び地場産業支援を含む)、モニタリングを実施する
2-6.活動や成果を通じて適宜BTAに必要な政策提言を行う

投入

日本側投入

・専門家派遣(長期・短期)
・研修(本邦・現地)
・招へい
・機材供与
・在外事業強化費

相手国側投入

・カウンターパートの配置
・事務所スペースや家具の提供
・その他必要経費(カウンターパートの給与、旅費。事務所の電気料金等の支払。)
・治安情報を含むプロジェクト実施に必要な情報やアレンジメント