2015年5月18日
プロジェクトでは、2015年5月12日から18日にかけ、カウンターパートとの打合せを兼ね、プロジェクトのパイロットサイトである伐採事業実行箇所の踏査のため、カウンターパート機関から2名、日本人専門家チームから3名の計5名により出張に行ってきました。プロジェクトパイロットサイトであるAria Vanu Block 2は、PNG国ウェストニューブリテン州の西部に位置しています(図1)。
PNGにおいては、森林の97%は部族が慣習的に所有しており、この所有は憲法により保護されています。商業伐採の計画区域が公表されると、その場所を所有する部族とその成員が登記され、法人格を得て、伐採権をカウンターパート機関である森林公社に売り渡す交渉・契約が行われます。森林公社はこの伐採権(50年契約、約40年の操業)を入札にかけて伐採業者に売り払い、伐採事業の進行を管理します。伐採した木材の量に応じて、業者は伐採料を支払い、森林公社を経由して、森林所有者の団体が受け取ります。伐採は択伐(抜き伐り)方式で行われ、持続可能な森林経営を目指した伐採施業基準に基づき森林公社職員によって監督されています。
プロジェクトでは、衛星写真等の空間情報を活用した、上記の伐採事業の進行管理の改善を成果の一つとして掲げており、本踏査ではその活用可能性を調査することを主目的としていました。踏査では、未伐採区域並びに本年、昨年及び一昨年に伐採された区域の踏査を行い、それぞれの箇所でGPS(Global Positioning System(注1))によりポイント情報を取得し、踏査後にGIS(Geographic Information System(注2))上でGPSポイント情報と衛星写真等を重ね合わせ、林道、集材路、択伐及び小規模な焼畑がどの程度読み取れるのか検証を行いました。その結果、林道や小規模な焼畑については衛星写真でもある程度読み取れることが確認できました。また、カウンターパートからは、伐採事業の監督を行う上で、衛星写真から判読できる林道等の路網や小規模な焼畑などは非常に有用といった意見が出されました。
今回のパイロットサイトは伐採が開始されてから数年しか経過していないため、森林が伐採後5〜10年経過した後にどの程度再成長するのか確認することはできませんでしたが、再成長量についてはプロジェクトのもう一つのパイロットサイト(ミルンベイ州ファーガソン島)において確認することとしています。
(注1)Global Positioning System:全地球測位システム。地球上の現在位置を、人工衛星からの電波で測定する装置。
(注2)Geographic Information System:地理情報システム。位置や空間に関する様々な情報についてコンピュータを利用して重ね合わせ、情報の分析・解析や情報を視覚的に表示させるシステム。