PNG森林公社職員来日研修

2015年9月5日

2015年9月5日から19日にかけて、本プロジェクトのカウンターパートであるPNG森林公社の職員4名が研修を受講するために来日しました。本プロジェクトはPNG森林資源情報管理システム(PNG-FRIMS)を用いたデータ管理や森林モニタリングを行うための技術移転と能力強化を目的としており、その一環として日本の環境でしか体験のできないトレーニングを行うことが目的です。来日した4名は普段、地図製作、IT技術、森林プロジェクト管理といった様々な業務をそれぞれ担当していますが、今回は2チームに分かれて、リモート・センシング(RS)/地理情報システム(GIS)研修とデータベース(DB)研修をそれぞれ受講しました。

RS/GIS研修コースでは、まず国際航業株式会社(KKC)を訪れ、RS及びGISの基礎的な知識や体系、森林モニタリングの重要性や必要となるデータの解説等を受け、その後インターネット回線を通じたRSデータの入手や分析を実際に行いました。PNG国内では、現時点ではインターネット回線が高価かつ不安定であるためRSデータの入手が大変難しい事情もあり、研修員にとっては将来を見据えた有意義な経験となりました。その後、一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)を訪れ、実際の作業を交えつつ、レーダ衛星の原理やそのデータの利用例、処理方法等を学びました。レーダ衛星データは雲の影響を受けないため、熱帯多雨地域に位置するPNG国において森林モニタリングを行う際には威力を発揮します。レーダ衛星データの供給元であるRESTECでその技術を学べたことは、研修員にとって貴重な体験となりました。

DB研修コースでは、PNG-FRIMSの役割とシステム構成を学び、PNG-FRIMSのインストール作業の実習を行いました。研修員はこれまでのような1ユーザとしてのPNG-FRIMSの活用だけでなく、システムの保守・運用を担っていく管理者としての役割についても学びました。また、PNG-FRIMSに格納されている各種森林情報の利活用及び共有を推進するためにESRIジャパン株式会社を訪問し、GIS及びその他にも利用可能なWebアプリケーションの構築に関する3日間のトレーニングを受講しました。このトレーニングで学んだ技術をPNG森林公社における日常業務の改善に役立てるため、研修員が日頃感じている課題とその解決策を検討し、Webアプリケーション構築の実習を行いました。このアプリケーションの設計から構築までの体験は、今後のPNG森林公社におけるPNG-FRIMSの拡充・強化の推進にも役立つことが期待されます。

研修の最終日には成果発表会が行われ、各研修員が本研修によって得た知識や技術のプレゼンテーションを行いました。各自研修を通じて実務に役立つ技術を身につけることができたことで、今後はその技術を積極的に活用していくことで、継続的な研鑚が期待されます。また、研修員の帰国後にPNG森林公社内において研修成果報告会が行われ、多くの質問や意見表明がなされて有意義なものとなりました。

今後も本研修で作成したマニュアルやモデル、アプリケーション等を活用しながら、研修員が研修の成果をPNG森林公社の他職員と積極的に共有するとともに、それらが本プロジェクトと直接関わりのない業務にも幅広く応用・活用されることが期待されています。

【画像】図1 RS/GISトレーニングで作成した森林モニタリング用地図

【画像】図2 データベーストレーニングで作成したアプリケーションのイメージ

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RS/GISトレーニング。講義を交えつつ、実際に森林モニタリング作業を行うことによって技術の習得を行った。

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データベーストレーニング。業務に使えるアプリケーションの設計・構築を通じて技術の習得を行った。

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研修最終日には各研修員が研修の成果を発表。

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研修員はパプアニューギニアに帰国後、PNG森林公社職員に対して成果を発表。