2019年度PNGEITI報告書 広報強化月間2 新たなジェンダー要件に対応した雇用数情報公開の開始

2021年9月10日

パプアニューギニア国は、2021年7月に「2019年度EITI報告書」を公表しました。プロジェクトでは、同報告書公開後の8月を広報強化月間として、同報告書のハイライトを、一般市民向けに分かり易く紹介するソーシャルメディア(LinkedIn, Facebook, Instagram, Twitter)での啓発キャンペーンの実施を支援しました。

報告書は、EITI基準に則り作成されますが、内容は多岐にわたります。EITI基準も2019年に改訂され、新たに「ジェンダー」に関する要件が加わりました。採取産業や資源収入の開かれた責任ある管理のために、市民参加や情報公開の促進において、より一層のジェンダー平等が求められているためです。

パプアニューギニア国としても、新たな要件への対応に取り組んでいます。その一つが、「男女別の雇用者数の情報開示」です。報告書では、採取企業に就労する男女の雇用数や割合が、管理職と技術職、国籍別などに区分して公開されました。このような統計数値の公表は、同国では初めてとなります。

【PNG 2019 EITI 報告書より抜粋】

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(2)男女別雇用数
(出典:Table 20, Figure 17, PNG EITI 2019 報告書)
・採取産業における雇用は、世界的に見ても男性が多くを占めるが、PNG国においても同じことが言える。特に、この傾向は役員レベルと技術職レベルで顕著に窺える。
・採取産業における雇用数の男女差異の要因には、女性の雇用を制限する労働法や科学・技術・工学・数学(STEM)を専攻する女子学生が少ないことなどが挙げられる。

ソーシャルメディアにも反響があり、Ok Tedi Miningという同国の国営採掘企業に勤務する女性たちからは以下のようなコメントが寄せられました。

「重要なデータを掲載してくれて感謝しています。このデータを見ると私たちが現状を改善しなくてはならないことが明らかです。一方で、採取産業において多くの女性が活躍していることを知り、非常に嬉しく思います。」
「このような情報を共有してくれてありがとうございます。採取産業の本質を突いた情報だと思います。」

今回のジェンダーに関する情報公開を通じて、同産業でのPNG女性参加は限定的であることが改めて可視化されました。これにより、採取産業関係者や一般市民の間で、男女均等な雇用と待遇促進への関心が高まり、政策議論が活発化することが期待されます。

プロジェクトでは、引き続き専門家が、同国EITI事務局への支援を通じて、CSO(Civil Society Organization; 市民社会組織)とも協働しながら、ジェンダーに関する教材の開発に取り組んでいます。今後、開発した教材を利用して関係機関向けに研修活動を実施し、採取産業における女性の雇用・参加促進を始めとする女性を巻き込んだ経済エンパワーメント、ひいては同産業を支えるSTEM教育(Science, Technology, Engineering and Mathematics; 理工系教育)でのジェンダー格差の解消といった課題も取り扱う予定です。

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