女性に対する暴力撤廃の国際デー

2021年11月25日

11月25日は女性に対する暴力撤廃の国際デー(International Day for the Elimination of Violence against Women:IDEVAW)です。12月10日の世界人権デーまでの16日間、世界各国で女性への暴力を根絶するための活動が行われます。

プロジェクトのカウンターパート機関であるパプアニューギニア国(PNG)のEITI事務局は、PNGのEITIマルチステークホルダーグループ(MSG)を代表して、女性に対するいかなる暴力も許さず、安全な地域社会に貢献するための声明を発表しました。

プロジェクトでは、PNGのEITI事務局への支援を通じて、EITI基準の要件の一つでもある「ジェンダー」に対する理解を深めるための研修活動を実施しています。活動を通じて、ジェンダーに基づく暴力(Gender-Based Violence:GBV)の問題は採取産業界でも様々な形態で蔓延していることが、EITI MSGメンバーや関係機関にも共有されました。PNGの採取産業としても、GBV削減・ジェンダー平等に貢献する姿勢を一般市民に対して表明することは重要であるとの認識から、今回、EITI MSGとしては初めて以下の声明文が出されました。

同声明を通じて、改めてPNGの採取産業、EITI MSGとして、より一層のジェンダー平等の促進に対するコミットメントが高まったと言えます。

声明文

女性に対する暴力撤廃の国際デーを記念して、パプアニューギニア国の採取産業透明性イニシアチブ(PNGEITI)はジェンダー平等推進のための取り組みを確約し、PNG国における採掘活動は包括的で公平な採掘産業であり、女性に対していかなる暴力も許さないことを明言いたします。

PNGEITI 2019レポート(2021年7月発行)に示されているように、採掘部門はPNG国のGDPの28%に貢献をしています。産業が社会に与える経済的および社会的利益は明らかです。しかし、採掘産業においては男性従業員が大半を占めており、鉱山が位置する地域社会では、女性や女子に対するリスクが高まっています。引用された報告によると、PNGにおけるジェンダーに基づく暴力(GBV)の蔓延率は世界において最も高いです。

悲しいことに、近年、鉱業活動に関係する搾取、嫌がらせ、虐待を受けた女性の事件や報告があります。GBVは、被害者に生涯にわたる心理的傷を残し、社会および経済に悪影響を残す可能性があります。

これらの課題に対処するために、採掘部門の利害関係者は、GBVの防止と対応を行っているコミュニティ組織を支援しています。市民社会団体(NGO)であるCIMC- Family and Sexual Violence Action Committee(FSVAC)は、PNGにおけるGBV撤廃を目指したプログラムを実施しています。

PNGEITIの統治機関であるMSGは、2017年に定めた行動規範において、以下のように暴力や差別を許さない方針を掲げています。
・「PNGEITIのMSGメンバーは、個人の尊厳と生活を尊重して、適切な権限の行使、判断を行います」
・「PNGEITIのMSGメンバーは、いかなる相手に対しても、いじめや差別的行為を助長・加担する行動は行いません」

PNGEITIと利害関係者は、職場や地域社会における女性に対するあらゆる形態の暴力をなくすための取り組みを強化する必要があります。

PNGEITIは、GBVを許さず、EITIメンバーと地域社会の間でジェンダーに対する意識や理解を高めるための努力をしています。例えば、GBVに関する研修教材の開発し、市民社会団体を通じて資料を配布する予定です。

女性に対する暴力撤廃の国際デーを機に、暴力のない、業界にとってより安全なコミュニティを構築するための努力を継続するという私たちのコミットメントをここに明言します。

ルーカス・アルカン
PNG EITI事務局長