算数教材の開発が始まりました!

2021年8月23日

初等教員養成校(以下、PTC)の算数科の学生用教材・講師用指導書の開発が本格的にスタートしました。

最初に2021年5月~6月にかけて、PTCの講師代表たちを対象にしたオンラインの教材開発ワークショップを行いました。ワークショップでは、新しい教材の開発に先立ち、PTCで使用されている現在の教材の課題について議論しました。参加者からは、小学校の新カリキュラムに対応した教科内容や教授法を指導する教材や、基礎的な内容から発展的な内容に学習を段階的に深めていくスパイラル型の学習を目指した教材の開発が必要であるという意見が集まりました。

次の段階は、7月に高等教育省・教育省職員やPTC講師からなる教材開発チームのメンバーと、先のワークショップの意見を踏まえたモデル教材作成に向けてワークショップ形式で協議しました。協議ではPTCの1年生が学習する「十進位取り記数法の有用性」の単元を取り上げましたので、その様子を簡単に紹介したいと思います。

教材開発を始めるにあたり、ワークショップではまず編集方針や教科内容に関する知識についてチーム全体で共通理解が持てるように研修しました。その上で、日本人専門家が起案した学生用教材案と講師用指導書案の内容を共有し、パイロットPTCの講師が1授業分を模擬授業しました。記念すべき最初の模擬授業を実施した講師からは、「新しい教材を使用することでPTCの学生の学びを深めることが期待できます!」との感想を頂きました。また、ワークショップの参加者からは、模擬授業を通して見えてきたモデル教材の改善点が数多く提案されました。とくに授業の導入・展開・まとめといった流れを、どのようにモデル教材の中に構成していくかという点や、生徒中心型の授業をするためにどのような活動をモデル教材に追加するかという点について協議をしました。

これらの提案を踏まえて、翌週からは教材開発チームのメンバーがモデル教材の編集作業を開始しました。メンバーは、小学校の新カリキュム・新教科書の内容や教授法を初めて学ぶPTCの学生にとって、わかりやすい教材にするために、PTCの学生の理解度を踏まえた説明や、図表の工夫、活動を取り入れるといったアイディアを新たに盛り込みました。たとえば、十進位取り記数法に基づいて、数をブロックで表す際には、一の位、十の位、百の位、千の位で、それぞれ形の異なるブロックを使います。ブロックは小学校の新カリキュラムや新教科書では指導に効果的な教具として紹介されていますが、PTCの学生や講師にとっては必ずしも一般的な教具ではないと、教材開発チームのメンバーが指摘しました。そこで、はじめてブロックを見る学生や、初めてブロックについて指導する講師にとってわかりやすいように、それぞれのブロックに名前をつけたり、それぞれのブロックがどのように関係しているのか説明したり、ブロックが手元にない場合には方眼紙を使って実際につくってみたりする活動を盛り込んでみようという新しいアイディアが生まれました(写真3枚目)。

編集作業では、学生用教材と講師用指導書で使用されるすべての文章と使用される用語について、1語ずつ丁寧に確認しながら編集作業をしています。教材を初めて手に取ったPTCの学生や講師にとって、わかりやすい教材になるよう実際の授業の様子や学生の反応を模擬授業から想像しながら、日々よりよい教材の開発に向けて協議を重ねています。今後のさらなる教材開発にむけて、PNGのカウンターパートと日本人専門家がチーム一丸となって、一歩ずつ前進していきたいと思います。

文責:安川 奈々恵(アイ・シー・ネット株式会社)

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