プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)初等理数科教員養成校強化プロジェクト
(英)Project for Strengthening Primary Teacher Pre-Service Education in Mathematics and Science

対象国名

パプアニューギニア

署名日(実施合意)

2020年2月27日

協力期間

2020年9月9日から2024年9月8日

相手国機関名

(和)高等教育省
(英)Department of Higher Education, Research, Science & Technology

背景

パプアニューギニア独立国(PNG)は、これまで学校の増設や教員の増員、教育無償化政策(2012年~)などを通じた公教育へのアクセス拡大に取り組み、その結果就学率が大幅に改善している。その一方、教育の質に依然として大きな課題を抱えており、特に児童の低学力が問題となっている。2015年に初等学校第5学年を対象に実施された太平洋識字・計算力測定調査(The Pacific Islands Literacy and Numeracy Assessment:PILNA)では、当該学年で必要な識字力・計算力を身に付けている子どもの割合に関し、PNGは太平洋地域13か国の平均(識字力46%、計算力68%)を大きく下回っており(それぞれ23%、51%)、識字力・計算力を十分に習得できていない児童が相当数いることが浮き彫りになった。また、2012年のPILNAでは、必要な計算力を身に付けている子どもの割合が男児40%、女児30%となっており、女児の学力の方が低い傾向にあることが明らかになっている(UNESCO、2015)。
児童の低学力を招いている要因の一つとして、教員の質の低さが挙げられる。PNGでは、3年間の教員養成コースまたは4年間の学士コースを修了することで初等学校の教員となることができるが、同コースを修了していても教科内容や教授法に関する十分な知識を身に付けられていない教員が多いことが明らかになっている(「理数科教育の質の改善プロジェクト」ベースライン報告書、2018・2019年)。また、2019年より初等学校に新たなカリキュラム(Standard Based Curriculum:SBC)が導入されたが、現在の教員養成プログラムは、SBCの内容を反映したものになっておらず、さらに各養成校での指導内容も統一されていない。その結果、教員養成課程から学校レベルまで一貫して、新カリキュラムに基づいた授業実践を行うことが困難となっている。
この背景を踏まえ、PNG全国の初等教員養成校共通の理数科教材及び講師用指導書の開発を行う技術協力プロジェクトの実施が合意された。

目標

上位目標

初等教員養成校学生の理数科指導力が向上する。

プロジェクト目標

全国の初等教員養成校において、開発された学生用教材及び講師用指導書が活用されることにより、理数科講義の質が改善される。

成果

1.国家教員養成カリキュラム(PSD)に沿って、全教員養成校共通の理数科の学生用教材と講師用指導書のドラフトを開発する。
2.1で開発したドラフトの試行プロセスを通じて、学生用教材及び講師用指導書が完成する。
3.初等教員養成校の学生用教材及び講師用指導書開発にかかる高等教育省の能力が強化される。

活動

1-1.各教員養成校の講師代表者及び教科書執筆者を対象としたワークショップを行う。(参加者人数はPNG側予算による)
1-2.1-1において、教員養成校での理数科講義に係る課題(ジェンダー課題含む)を分析する。
1-3.1-1において、各養成校で作成した既存の教材及びQUIS-MEプロジェクトで作成した教師用指導書を比較・検討する。
1-4.1-1の成果を基に、教員養成校の理数科の学生用教材及び講師用指導書のドラフト(ジェンダーに配慮した内容及び指導法を含む)を作成する。
1-5.パイロット養成校において学生用教材及び講師用指導書のドラフトを試行し、改訂する。
1-6.1-4から1-5を繰り返し、理数科の全単元分の学生用教材及び講師用指導書のドラフトを作成する。

2-1.各教員養成校の講師代表者及び教科書執筆者を対象としたワークショップを行う。
2-2.パイロット養成校での試行及びマイクロティーチングを通じて学生用教材及び講師用指導書のドラフトを検証する。
2-3.2-2のフィードバックに基づき、学生用教材及び講師用指導書のドラフトを改訂する。
2-4.全ての教員養成校において学生用教材及び講師用指導書のドラフトを用いた講義を実施する。
2-5.全ての教員養成校における学生用教材及び講師用指導書のドラフトを用いた講義をモニタリングする。
2-6.2-5の結果を収集・分析し、学生用教材及び講師用指導書を改訂・最終化する。
2-7.編集・校正を行う。
2-8.最終化された学生用教材及び講師用指導書の承認を得る。

3-1.成果1、成果2の活動を通じ、教員養成校における教材開発に必要なプロセスを抽出する。
3-2.教員養成校の教材開発にかかるマニュアルを開発する。

投入

日本側投入

・専門家:総括、算数教育、理科教育、業務調整等
・専門家活動経費
・機材供与:車両等
・本邦研修

相手国側投入

・カウンターパートの配置
・プロジェクトオフィスの提供
・プロジェクト運営に係るローカルコスト
・プロジェクト活動の実施に係る費用(ワークショップ開催経費等)