プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)道路整備能力強化プロジェクトフェーズ2
(英)Project for Capacity Development on Road Maintenance Phase 2(CDRM 2)

対象国名

パプアニューギニア

署名日(実施合意)

2020年10月6日

協力期間

2021年3月16日から2025年3月15日まで

相手国機関名

(和)公共事業省
(英)Department of Works

背景

パプアニューギニア独立国(以下、「PNG」という。)は、大小700の島々から構成され、ニューギニア島東半分には東西に連なる3,000~4,000m級の山脈が国土を分断し、他の島嶼部を含めて深い熱帯雨林に覆われています。このような険しい地形や厳しい気象により、幹線道路の維持管理が難しく、また未舗装道路の大部分の状態が悪いため、その通行に支障が生じています。維持管理が行き届かない道路は、農産物の消費地への輸送や住民の公共サービスへのアクセスを阻害し、国内経済と社会の発展を妨げる大きな要因になっています。
公共事業省(以下、「DoW」という。)が管轄する国道の総延長9,500kmの内、舗装率は22%にとどまり、残り約7,400kmは未舗装です。未舗装道路の維持管理作業は、民間業者がほとんどいない地方部においては、DoWが各州におく建設機材局(Plant and Transport Division:以下「PTD」という。)が直営で実施しています。未舗装道路の維持管理作業では、路面の修復のための不陸整正、散逸する砂利の補充などのためにモーターグレーダー等の建機の適切な運用、管理が重要になります。しかし、PTDの保有する建機の不足、老朽化、整備不良及び職員の能力強化という問題を抱えていることから、適切に維持管理されている未舗装道路は1割程度にとどまっており、未舗装道路の適切な維持管理が大きな課題になっています。
PNG政府の「PNG開発戦略計画」(Development Strategic Plan 2010-2030:DSP)の中でも、運輸インフラ整備は社会インフラ整備と並んでその促進が謳われており、未舗装道路の適切な維持管理が重要になっています。
我が国は、2012年に無償資金協力「道路補修機材整備計画」で建設機械を供与し、2013年から2017年まで「道路整備能力強化プロジェクト」(以下、「CDRM1」という。)を東セピック州、モロベ州、西ハイランド州及び西ニューブリテン州を対象に実施しました。CDRM1により、対象4州のPTDの建機の運用、管理能力、未舗装道路の維持管理が向上した成果がPNG側に評価され、我が国に対して新たな対象州における未舗装道路の維持管理向上のための技術移転が要請されました。
本プロジェクトCDRM IIでは、CDRM Iの成果を活かしつつ、CDRM II終了後、その成果の全国展開も視野に入れて能力強化を目指します。また無償資金協力「経済社会開発計画」により、マダン州、西部州、東ニューブリテン州に建機が供与される予定であり、本事業では当該建機も活用する予定です。さらに、DoWは、現在PTDの道路維持管理をより効率的に行うために、業務の生産性向上への取り組みを独自に進めており(以下、「Day Labour」という。)、この取り組みと本事業によるPTD職員の能力強化の相乗効果の発現が期待されています。

目標

上位目標

対象州におけるPTDによる未舗装道路の維持管理が、PTDの人材及び機材を用いて適切に実施される。

指標1:対象州PTDのカウンターパートX人が、未舗装道路維持管理の各段階(測量、設計、費用計算、施工、完成後検査)を理解したうえで、道路維持管理業務を計画し、実施することができる。
指標2:DoWが進めている生産性向上運動‘Day Labour’と連携した未舗装道路維持管理により、対象州内の未舗装道路Y km以上が維持管理される。

プロジェクト目標

対象4州PTDにおいて、未舗装道路維持管理能力(組織・運営・技術面)が向上する。

指標1:各対象州PTDが、州内のパイロットプロジェクトサイトの未舗装道路の維持管理工事を計画し、実施する。
指標2:本プロジェクトによる技術移転を受けたX人が、ベースライン調査時と比較し、知識、技能レベルがY%向上する。

成果

1.DoWが進める生産性向上運動‘Day Labour’の理念に基づいて、対象州PTDの未舗装道路の維持管理事業を行うことが出来る組織体制にする。

2.対象州事務所の土木技術者、建機オペレーター、メカニックが、CDRM I参加者の中から指名された研修講師から、未舗装道路の維持管理作業のために必要な知識、技術、現場経験を積み実務能力を獲得する。

3.CDRM Iにおいて作成された道路維持管理機材の管理手法がさらに改善され、CDRMII対象州にてその手法の下で建機が効率的に利用される。

4.各州のPTDが直営で未舗装道路の維持管理を行うために必要なDoW本省PTDの調整機能が強化される。

活動

1.対象州の道路状況を把握し、対象州における既設道路と未舗装道路維持管理の状況を確認した上で、対象州PTDの組織、人員、建機等の現状を把握する。また‘Day Labour’の方針に基づく道路維持管理工事の観点から、現在の未舗装道路維持管理を評価する。その上で対象州PTDの組織、人的体制、機材体制、予算確保、維持管理プロセス、道路インベントリーの改善を含めた組織体制を整える。

2.CDRM I対象州から指名された研修講師と、今回の対象州のPTD職員(土木技術者、建機オペレーター、メカニック)の能力を把握するため、ベースライン調査を行い、PTD職員に対する研修計画を作成し、研修教材について必要な改訂を行う。その上でPTD土木技術者、メカニック及びオペレーターに対する研修を行う。
対象州において、パイロットプロジェクトサイトを選定し、そのサイトでOJTを実施する。その中では、サイト周辺の住民の意見を聞くために質問票調査を行い、維持管理業務に反映させる。

3.既存の建機管理状況を調査し、分析する。この結果に基づいて、既存の建機管理を改善する。その中では年間維持管理スケジュール、スペアパーツ購入リストを含む計画を作成する。

4.DoW本省PTDが、道路維持管理に携わる土木技術者、建機オペレーター、メカニックに係る職員の情報を蓄積し、対象州に講師を派遣するためにその講師が所属する州と調整して決めるとともに、派遣のための予算確保を含めた調整を行う。
また、対象州のPTDの人員、施設(ワークショップ)、建機の情報、維持管理実績を蓄積し、未舗装道路の維持管理行うために必要な人員、建機と施設を含めた体制の整備と、維持管理予算の確保をするための調整を人事または予算関係部署と行う。
本事業について国民の理解を得るために広報を対象州のPTDと協力して行う。

投入

日本側投入

専門家派遣、研修員受入れ、機材供与、プロジェクト実施に要する一部経費

相手国側投入

カウンターパート配置、案件実施のための施設提供、パイロット事業実施経費を含むプロジェクト実施経費