プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)母子保健サービス改善プロジェクトフェーズ3
(英)Project for Reinforcement of Maternal and Newborn Healthcare in Senegal Phase 3
(仏)Projet de Renforcement des Soins de Santé Maternelle et Néonatale au Sénégal(PRESSMN)Phase 3

対象国名

セネガル

署名日(実施合意)

2019年6月19日

プロジェクトサイト

セネガル全国14州(直接介入州4州:サンルイ州、タンバクンダ州、ティエス州、ジガンショール州)

協力期間

2019年10月30日から2024年10月29日

相手国機関名

(和)保健社会活動省
(英)Ministry of Health and Social Action

背景

セネガルにおける2017年の妊産婦死亡率は236(出生10万対)、新生児死亡率は28(出生千対)、5歳未満児死亡率は56(出生千対)であり(Continuous Demographic Health Survey 2017)、持続可能な開発目標(SDGs)の目標値(それぞれ70、12、25)と比較するとまだ尚大きな隔たりがあります。
このように母子保健状況の改善は依然として大きな課題であり、セネガル保健社会活動省(以下「保健省」)が策定した「国家保健社会開発計画2019~2028」では、これら死亡率の減少に向けた母子の健康状況の改善を中期目標と定めています。また、同国では大統領主導のもとSDGsの一つであるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(以下「UHC」)の達成に向けた取り組みが進められています。
JICAは保健省と協力し、母子保健サービスの質の向上を目指し「母子保健サービス改善プロジェクト(以下「PRESSMN」)」を約10年に渡り実施してきました。フェーズ1は2009年から2011年の3年間で、タンバクンダ州とケドゥグ州という首都から遠い農村地帯で開始しました。専門職が希少な僻地で、母子が備えている本来の力を引き出す日本の助産ケアを基本とし、行政・保健医療施設・コミュニティが協働して「母子保健サービスの質」を改善することに取り組みました。それは、「妊産婦・新生児が尊重されたケア」を重視する「PRESSMNモデル」と呼ばれるようになりました。その後、2012年から2018年に実施されたフェーズ2では、「PRESSMNモデル」を全国各州で実施(各州で1つのパイロットサイトを確立)するとともに、同モデルを助産師や看護師を養成する卒前教育へ導入しました。
しかしながら、これまで対象が一次・二次レベルの保健医療施設に限られていたことから、レファラル体制の頂点であり、専門職育成の主たる臨床実習の場でもある三次レベルの病院へのモデル普及が不十分でした。また、モデルの全国展開を加速するためには、これまでの保健省主導の実施ではなく、各州の州医務局がイニシアティブを取り、病院や保健人材養成校、大学(医学部や看護・助産学部)と連携して、モデル普及の地方拠点を確立していくことが必要であることが明らかになりました。このような背景のもと、これまでの成果を持続的に拡大・定着させる体制の確立に向け、技術協力の実施が要請されました。

目標

上位目標

セネガルの妊産婦及び新生児の死亡が低減する。

プロジェクト目標

全国で「妊産婦・新生児が尊重されたケア」が普及する。

成果

1:「妊産婦・新生児が尊重されたケア」の全国展開プロセスを加速するため、保健省の能力が強化される。
2:「妊産婦・新生児が尊重されたケア」の展開を調整するため、直接介入州における州医務局の能力が強化される。
3:「妊産婦・新生児が尊重されたケア」の実践・教育のため、直接介入州における病院の能力が強化される。

1:「妊産婦・新生児が尊重されたケア」の全国展開プロセスを加速するため、保健省の能力が強化される。

1.1.直接介入州において現状分析調査を実施する。
1.2.「妊産婦・新生児が尊重されたケア」の卒前教育を含めた全国展開に向け、関係機関との連携により介入パッケージを改定し、看護師・助産師のコンピテンシーにおける位置づけ、継続ケアや緊急産科・新生児ケア(英:BEmONC、仏:SONU)や小児疾患統合管理(英:IMCI、仏:PCIME)、5S等との関係性を整理する。
1.3.活動1.2.の内容を政策・基準・プロトコル(PNP)等の国家枠組み文書に反映する。
1.4.関係機関との連携により「妊産婦・新生児が尊重されたケア」を全国展開させるためのロードマップを必要経費を含めて策定する。
1.5.直接介入州の州医務局が、大学や保健人材養成校を巻き込みながら、講師養成研修(TOT)や医療従事者への研修、保健センター・ポストへのスーパービジョンを実施するための計画策定を支援する。
1.6.「妊産婦・新生児が尊重されたケア」に関する評価グリッドを改定する。
1.7.プロジェクト活動に関する大学による学術的研究を促進する。
1.8.さらなる全国展開に向け、プロジェクト活動の進捗や結果を開発パートナーを含む関係機関と共有する。

2:「妊産婦・新生児が尊重されたケア」の展開を調整するため、直接介入州における州医務局の能力が強化される。

2.1.「妊産婦・新生児が尊重されたケア」の普及のため、開発パートナーを含む関係機関との定期調整会合を直接介入州にて実施する。
2.2.大学や公立・私立保健人材養成校を巻き込みながら、直接介入州におけるすべての保健医療施設に「妊産婦・新生児が尊重されたケア」に関するTOT、医療従事者への研修、スーパービジョンを実施するための年間活動計画(PTA)を策定する。
2.3.大学や公立・私立保健人材養成校を巻き込みながら、直接介入州におけるすべての保健医療施設に「妊産婦・新生児が尊重されたケア」に関するTOT、医療従事者への研修、スーパービジョンを実施する。
2.4.さらなる全国展開のため、プロジェクト活動を関係機関、特に近隣の州や開発パートナーと共有する。

3:「妊産婦・新生児が尊重されたケア」の実践・教育のため、直接介入州における病院の能力が強化される。

3.1.大学や公立・私立保健人材養成校を巻き込みながら、直接介入州における病院に「妊産婦・新生児が尊重されたケア」に関する研修を実施するための計画を策定する。
3.2.大学や公立・私立保健人材養成校を巻き込みながら、直接介入州における病院に「妊産婦・新生児が尊重されたケア」に関する研修を実施する。
3.3.大学や公立・私立保健人材養成校を巻き込みながら、直接介入州における病院に「妊産婦・新生児が尊重されたケア」の実践状況のモニタリングを実施する。
3.4.臨床実習生に対して「妊産婦・新生児が尊重されたケア」に関する指導を行う。
3.5.「妊産婦・新生児が尊重されたケア」実践の奨励のため、プロジェクト活動を関係機関、特に近隣の保健医療施設と共有する。

投入

日本側投入

1)専門家派遣:チーフアドバイザー、助産指導、看護・助産教育、保健医療行政、業務調整、他
2)妊産婦・新生児ケアに関する本邦研修
3)機材供与(プロジェクト用の車両、事務物品等)
4)ローカルコスト(研修やセミナー、その他活動に必要な経費)

相手国側投入

1)カウンターパートの配置
2)プロジェクトオフィス(DSME内)
3)案件実施のための現地経費、直接介入州外への展開費用