プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)レジリエンス強化のための能力向上プロジェクト
(英)The Project for Capacity Development to Strengthen Local Resilience in Sierra Leone

対象国名

シエラレオネ

署名日(実施合意)

2019年12月5日

協力期間

2021年6月10日から2025年6月9日(4年間)

相手国機関名

(和)地方自治・地域開発省
(英)Ministry of Local Government and Rural Development

背景

シエラレオネは、長期間の内戦やエボラ出血熱の流行による行政の担い手の不足、脆弱な行政能力、限定的な政府歳入、ダイヤモンド等の鉱物資源生産に大きく依存した経済構造、若年層の失業、電力や道路等の経済インフラの不備、首都と地方との格差拡大等、様々な課題があげられる。同国の開発指標はいまだ世界最低レベルにあり、国連開発計画(UNDP)の2017年人間開発指標(HDI)は189か国中184位である。
JICAは2009年から2019年まで、同国の地方分権化政策に基づいた地方議会(以下LCとする)職員の地域開発事業の能力向上を目的として、北部州全5県を対象に、「カンビア県地域開発能力向上プロジェクト」(以下CDCDプロジェクトとする)を実施してきた。同プロジェクトでは、地域開発事業実践の手引書を「地方議会地域開発事業実施ガイドライン」(以下ガイドラインとする)としてまとめたが、同ガイドラインは地方自治・地域開発省(以下MLGRDとする)の内規として承認され、2019年2月に公表された、シエラレオネ国中期国家開発計画(SIERRA LEONE’S MEDIUM-TERM NATIONAL DEVELOPMENT PLAN 2019-2023)内にもその普及の目標が明記されている。
ガイドラインを使用した地域開発事業はこれまでCDCDプロジェクトで支援した北部州・北西部州では実践されているものの、同国の残りの州(東部州・南部州)への普及に関しては、予算・人材配置の仕組みが機能していないため未だ実施されていない。ガイドラインが掲げる「地方自治体と住民組織の協働、MDAs(Ministries, Departments, and Agencies:セクター事務所)との連携による地域開発」を東部州・南部州で実施するには、MLGRDのイニシアチブのみならず、首長や議会の理解促進、セクター省庁との連携、予算獲得のためのドナーとの連携等、包括的な取り組みが必要である。
本事業は、CDCDプロジェクトにより実績を積み重ねてきた北部州LCの支援を得つつ、前述中期国家開発計画の実現を図るべく、ガイドラインの東部州・南部州への普及を通じ、MLGRD及びLCの人材・組織の能力強化を行い、紛争・エボラの影響を受けたシエラレオネの社会基盤の強化に貢献するものである。

目標

上位目標

東部州及び南部州の各地方議会において本プロジェクトの効果が継続する

プロジェクト目標

プロジェクトの対象LCにおいてガイドライン(注)に基づく地域開発事業の実施が促進される
(注)同ガイドラインは、住民参加型計画、調達における透明性の確保、住民への説明責任、MDAsとの連携の改善を促すよう策定されたもの

成果

1.MLGRD及び東部州・南部州のLCの地域開発事業実施能力が向上する
2.MLGRD及びLCによるガイドラインに沿った地域開発事業のモニタリング体制が確立される
3.地域開発事業の教訓をもとにガイドライン改訂委員会によりガイドラインが改訂される

活動

1-1.ガイドライン普及計画・手順を見直す
1-2.MLGRD職員及び元CDCDカウンターパートだったLC職員に対してガイドライン使用に関するガイダンスを行う
1-3.ガイドラインアドバイザリーチームが東部州・南部州のLC職員に対して行うガイドライン使用に関するワークショップの実施を支援する
1-4.ガイドライン普及に関する研修マニュアルを策定する
1-5.東部州・南部州のLC職員に対して行われる、ガイドライン普及のための研修の実施を支援する
1-6.東部州・南部州のLC職員に対し、地域開発事業実施のためのプロポーザル作成指導を行う
1-7.MLGRD/LCが、ドナー、NGOに対してガイドライン説明会を開催するための支援を行う
1-8.MLGRD/LCが、ドナー、NGOに対しガイドライン使用を促進するための支援を行う
1-9.東部州・南部州のLC職員に対しMDAs、ドナー、NGOとの協調促進のための助言を行う
1-10.東部州・南部州LCの地域開発事業について現状調査を行う(会計年度内の案件総数、予算等)
1-11.1-10の結果をもとにモデルプロジェクト選定基準・内容を決定する
1-12.MLGRDがモデルプロジェクトを選定する際の支援を行う
1-13.LCがモデルプロジェクトを実施する際の支援を行う

2-1.LCの地域開発事業に関する情報を収集する
2-2.1年目の間にガイドライン使用実績モニタリングシートのドラフトを作成する
2-3.ガイドラインアドバイザリーチームと共に、ドラフト版モニタリングシートを活用しつつ東部州及び南部州でベースライン調査を行う
2-4.2年目の間にドラフト版モニタリングシートの改訂を行う
2-5.ガイドラインアドバイザリーチームと共に、改訂版モニタリングシートを活用しつつ東部州及び南部州でエンドライン調査を行う
2-6.3年目の間にモニタリングシートを完成させる
2-7.MLGRDがガイドラインの利用実績モニタリング結果と気づきの蓄積を行えるよう支援する
2-8.MLGRDが、ガイドライン改訂委員会に対して示す(活動2-7に基づく)ガイドライン改訂プロポーザルを準備できるよう支援する

3-1.ガイドライン改訂のためのガイドライン改訂委員会をMLGRDが設立できるよう支援する
3-2.北部州・北西部州のLC、MDAsによるガイドラインの使用実績および課題を調査する
3-3.ガイドライン改訂委員会が「活動2-5」および「活動3-2」の結果について分析する際の支援を行う
3-4.ガイドライン改訂委員会がガイドライン改訂のための会議を開催するよう支援を行う
3-5.ガイドライン改訂委員会が改訂版ガイドラインのドラフトを起草できるよう支援を行う
3-6.ガイドライン改訂委員会が改訂版ガイドラインを承認するために開くフォーラムの開催を支援する
3-7.MLGRDによる改訂版ガイドラインの承認プロセスを追跡する

投入

日本側投入

・専門家派遣(長期:総括/地方行政、業務調整/ガイドライン普及計画、短期:事業管理、衛生教育等)
・本邦研修
・機材供与
・専門家活動経費

相手国側投入

・C/Pの配置
・C/Pの業務に必要な先方予算の確保
・執務室及び必要機材の提供
・JICAが供与する以外にプロジェクト実施に必要な機材