ソロモン国における持続的な森林資源管理能力強化プロジェクト

2018年2月4日

ソロモン諸島国は大小1,000を超える島々で成る太平洋メラネシア地域の島嶼国であり、太平洋戦争の激戦地になったことで、日本とは歴史的に関係が深い国です。

同国の島々の大部分は豊かな森林に覆われ、森林被覆率(注1)は78.0%(2015年)と世界的にも高い数値を保っています。この豊かな森林資源は、同国の国家経済の土台で、林業は1978年の独立以来、主要産業の一つでもあり、木材輸出(主に丸太)は、最も重要な外貨獲得源となっています。1994年以降、林業は平均して総輸出額の50%以上、国家歳入の三割以上を占めています。しかし2006年以降アジア地域の木材需要増により、丸太輸出の増加に一層拍車がかかり、統計によると2006年から2011年までの年平均丸太輸出量は約1.45百万立方メートルとなっており、この数値は持続可能な収穫量のほぼ6倍にあたるとされています。森林資源の非持続的な利用が続いたことから、同国の森林のうち2000年~2010年の間で、樹冠率(注2)が20%以上減少した森林面積が約157,000ヘクタール(注3)にまで及んでいるといわれています。

このような背景からソロモン国森林研究省(Ministry of Forestry and Research:MoFR)からJICAに対して、森林セクターとして初となる技術協力プロジェクトの要請が出され、2017年9月にチーフアドバイザーが着任して「ソロモン国における持続的な森林資源管理能力強化プロジェクト」が開始しました。2018年1月初旬には業務調整員も着任し、プロジェクトの実施体制が整ったことから、1月30日に初回の合同調整委員会(Joint Coordination Committee:JCC)が開催され、事業計画(5ヵ年)及び来年度の活動計画が委員会メンバーによって承認されました。今後、プロジェクトは日本・ソロモンのプロジェクトメンバーで協力し合いながら、運営されます。

本プロジェクトの日本人専門家チームはチーフアドバイザーと業務調整員の2名の長期専門家に加えて、短期専門家が複数名派遣されることになっています。これから本プロジェクトの活動やイベント等、現場の情報を定期的に発信していく予定ですので、楽しみにお待ち下さい。

(注1)森林被覆率とは、土地の面積に対する森林の占有面積の比のこと
(注2)樹冠とは、樹木の枝や葉の茂っている部分をいいます。その形が冠状に見えることからその名が付いたといわれています。樹冠とは、森林において樹冠同士が並び,横に相接して森を覆う層のことを言い、樹冠率とは、単位面積あたりの樹冠の占めている部分がどのくらいあるかを示す割合のことです。
(注3)東京ドーム・グラウンドの約121,000倍