研修実施能力向上のためのトレーニングヤード建設

2019年2月28日

本プロジェクトは成果の一つに「漏水対策に係る研修実施能力が向上する」があります。カウンターパート(C/P)が実施している研修は以前のプロジェクトニュース「NWSDB研修能力強化に向けた準備作業(2019年1月7日)」でお伝えしたとおり、内容が充実し講師の力量も高いのですが、その多くが座学であるため、実習部分が不足しており、また、実習を行う適切な場所もありませんでした。

そこで本プロジェクトでは、名古屋市をはじめ日本の幾つかの自治体が所有するトレーニングヤードを国家上下水道公社(NWSDB)にも建設し、いつでも実習を行える施設を整備して、実技研修の充実に寄与する計画を進めてきました。

設計の前段階から、C/Pからヤード施設に対して多くの要望が寄せられ、必要と考えられる研修内容と施設内容をすり合わせつつ、できるだけ希望に応えられるよう、専門家の知恵と経験を結集し、様々な工夫を設計に反映させています。

そしてこの2月末に詳細設計が固まったことから、いよいよ建設に向けて走り出すこととなりました。

トレーニングヤードとは

本プロジェクトで計画するトレーニングヤードは、おもに管接合研修部分と漏水探知技術研修部分の2つの部分から成り、ヤードを建設するトレーニングセンター敷地内で提供された約480平方メートルの土地に、それぞれを模式図のように配置します。

管接合研修ヤードでは、配水管や給水管の接続を実際に研修生が行って施工技術の向上を目指し、現地で使用されている複数の種類の管材に対応できるよう研修します。

漏水探知技術研修ヤードでは、人工的に漏水を発生させ、それを探知する実習を行い、現場での施工実施能力を高めます。現地では水圧が低い場所が多いことから、C/Pからは低水圧も再現して欲しいという要望があり、低水圧から高水圧まで調整できる送水システムを導入しています。

施設の運用開始後は、管接続や漏水探知に必要な機材は研修センターに常備するので、いつでも研修を行えるようになります。

トレーニングヤードと研修

C/Pはこれまでも実技研修としてデモンストレーションなどを取り入れていますが、参加者が実際に自分で手を動かす実習部分が不十分でした。そのための実習向けヤードの建設ですが、ここでの研修をルーチン化するには、幾つかの過程を経る必要があります。

まず、1)研修プログラム案の策定、2)研修を行うための講師候補(リソースパーソン)の選定、3)講師の養成(TOT)、以上を経て、養成された講師が実習をおこなったり、次世代の講師を育成したりする任を担うことになります。またこの過程のなかで専門家とC/Pが一体となって、NWSDBの現状に即した研修プログラムを開発、改善していきます。

実習を行うには、機材の準備や片付け、段取り、安全面の配慮など、座学では必要とされなかった作業や配慮が必要となり、また、講師は機材や施設の使用方法に習熟する必要があることからTOTは非常に重要なプロセスとなります。今後は、トレーニングヤードの工事進捗をにらみながら、TOTの内容についてC/Pとリソースパーソン、専門家で協議しながら策定していくことになります。

【画像】トレーニングヤードの模式図

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リソースパーソンとの会議の様子1

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リソースパーソンとの会議の様子2