日本人専門家の産科医・小児科医によるフォローアップを実施しました。

2019年3月20日

2018年10月から11月にかけて、ハトロン州のプロジェクト対象6郡・市中央病院に、母子保健ケアにかかる医療機材の調達とそれらを活用したケアの研修がおこなわれました。その後の調達医療機材の使用状況や、プロジェクトとして強化すべき産科・新生児科の医療従事者のスキルなどを確認するため、母子保健、新生児ケア担当専門家(それぞれ産科医、小児科医)によるフォローアップを実施しました。

両専門家は、3月14日レバカンド市中央病院、3月15日クショニヨン郡中央病院、3月16日ヌーレク市中央病院、3月19日バルジュボン郡中央病院とホバリング郡中央病院、3月20日ムミノバード郡中央病院を訪問しました。

各病院の現状を踏まえ、以下の内容が全体的な指導事項として挙げられました。

先ず、タジキスタンでは一般的に機器を使用した測定に慣れておらず、測定記録も正確に残していないことが挙げられました。このため、妊産婦が重篤な症状に陥ることを見逃さないために、自動血圧計を使用し、正確な数値(一の位までの表示されたままの数値)をカルテに記載することが求められました。現状では、十の位までの同じ一定値が記録されており、血圧は日々時間帯等様々な影響を受けて刻々と変化するものであることが理解されていませんでした。
また、胎児心音についても同様の状況があり、ドップラー胎児心拍計の活用方法について指摘されました。
さらに、現在仮死児や未熟児の入院が少ない病院では、正常児にパルスオキシメーターを用いて測定し、その記録を残すことが提案されました。そして、新生児の記録、特に心拍数と呼吸数の記録を正常児についてもきちんと行うことが指導されました。

次に、妊婦を時間と距離をかけて搬送する必要がなくなるように、また、妊婦家族の金銭的負担を軽減するために、さらに、現状多数の患者であふれている州病院(第3次病院)の負担を軽減するために、郡・市中央病院(2次病院)で帝王切開・吸引分娩が実施できることが望まれました。プロジェクト対象病院は、医療機材が整った上級郡・市中央病院であるため、帝王切開・吸引分娩の実施ができるよう支援することで、これらの課題の解決につながります。

プロジェクトでは、専門家から指導のあったこれら事項について、今後も継続的にフォローアップしていく予定です。

新生児ケアの専門家、山崎医師による臨場感あふれる各病院でのインタビューや観察記録を、資料集(以下にリンク)に添付します。

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新生児にパルスオキシメーターを装着している様子を視察する日本人専門家(ヌーレク市中央病院)

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州スーパーバイザー(産科医)によるドップラー使用指導の様子(ホバリング郡中央病院)

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調達した機材によって測定された値がカルテにきちんと記載されているかどうかを確認