産前産後健診研修の実施・フォローアップ

2019年6月28日

タジキスタンのPHC(プライマリ・ヘルス・ケア)施設(第1次保健施設)には看護師や助産師が勤務しており、産前産後健診や乳幼児健診を実施しています。プロジェクトではスタッフの知識および技術強化のため、産前産後健診研修を2019年4月末から6月にかけてレバカンド市とヌーレク市で実施しました。また、第1次保健施設でのケアに必要な物品が不足し業務に支障が生じていることを踏まえて、対象PHC合計29施設にデジタル血圧計、デジタル体重計、充電器、充電式電池を配布しました。デジタル血圧計を使用する理由は、現状のように血圧を十の位まで記載するのではなく、一の位までの正確な数値を記録する習慣をつけるためです。このため物品配布時には使用方法の説明後、母子手帳の産前産後健診の記入欄を使用し血圧測定値を実際に記入してもらいました。また測定値をもとに上位の第2次保健施設(郡・市中央病院)へ母体搬送する必要があるかどうかについても確認しました。さらに、母子手帳の成長曲線の表を使用し、乳児の体重測定値のアセスメント方法についても確認しました。

また、プロジェクトではPHC施設と郡・市中央病院間での妊産婦と新生児・乳児のリファー体制強化にも取り組んでいます。このため上記研修実施と同時にリファーに関する問題点についても話し合う機会を設けました。PHCレベルでは、上位の郡・市中央病院による患者引き受け拒否ケースがあること、自宅で例えば浮腫・頭痛・視野狭窄等が発症しても、地理的・精神的(若い女性による保健施設にかかることへの羞恥心)・経済的な理由等ですぐにPHC施設に来ることができずに、症状が悪化するまで自宅で様子をみてしまうケースがあるということが分りました。一方で母体搬送が適切に実施され処置を受けることで、妊婦が無事に出産に至ったケースについても共有されました。スムーズに母体搬送できた最大の要因として挙げられたのは、普段からPHC施設のスタッフと郡・市レベルの産科医とでコミュニケーションが取れており、緊急時の対応の相談や搬送を躊躇なく依頼できている点でした。

プロジェクトは今後もPHC施設と郡・市中央病院スタッフの知識・技術の強化とともに、各施設間での適切な母体搬送の実施体制強化に取り組んでいきたいと思います。

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デジタル血圧計の使用方法について確認(レバカンド市)

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母体搬送に関する話し合いの様子(ヌーレク市)