新型コロナウイルス感染症蔓延の影響を受けてPDMを改訂

2021年4月21日

2020年3月初めから2021年3月終わりまで、本プロジェクトメンバーの日本人は新型コロナウイルス感染症の蔓延を受けて、タジキスタンへの渡航を見合わせておりました。この間、オンライン会議ツール等を使って遠隔で活動ができるものについては少しずつ進めてきました。2021年4月に渡航を再開したときには、新型コロナウイルス感染症蔓延の影響を受けた活動の停滞や新たな支援ニーズ等に鑑み、タジキスタン保健社会保護省とも協議の上、プロジェクト期間の延長やPDM(プロジェクト・デザイン・マトリックス)の改訂を行うことにしました。

プロジェクト期間の延長とPDM改訂の合意を得るため、また新型コロナウイルス流行下での遠隔によるプロジェクト活動進捗の発表のため、2021年4月21日、前回の開催から約1年半振りとなる第5回合同調整委員会(JCC:JointCoordinationCommittee)を開催いたしました。JCCには、タジキスタン側から保健社会保護省副大臣、母子保健局長、対象6郡・市中央病院長、共和国立周産期研究所、共和国立リプロダクティブヘルスセンター、日本側からはJICA人間開発部(オンライン参加)、JICAタジキスタン事務所、日本大使館、プロジェクト専門家が出席しました。

プロジェクト活動進捗報告では、新型コロナウイルスが蔓延している困難な状況下でも、遠隔会議等のツールを利用し活動を続けてきたこと、また、既存の成果1~4における活動のみならず、新型コロナウイルス蔓延に対する感染症対策等の臨時支援も実施したことを発表しました。具体的には、第1次保健医療施設(プライマリーヘルスケアセンター)への個人防護具の配布や、その個人防護具の着脱方法がわかりやすく記載された標準作業手順書の作成・配布等の追加活動を行いました。新型コロナウイルスによる活動制限がある中でも、活動と支援を継続してきたことに対し、母子保健担当の副大臣より感謝の言葉を頂きました。

次に、プロジェクト期間について、今回新たに成果1の活動として追加されたクショニョン郡中央病院とレバカンド市中央病院への給水設備整備支援、また新型コロナウイルスによる対象6郡・市中央病院のプロジェクト活動停止及び医療体制の復興にかかる時間を鑑み、完了日を「2021年7月30日まで」から「2022年12月26日まで」に変更することで合意しました。

PDMの改訂では、新型コロナウイルスの流行を受け、期待される成果(目標)と活動を、より現地の実情に合わせたものとなるよう見直し、主に2つの点が大きく改訂されました。

まず、新型コロナウイルス感染症の流行により医療施設における感染症予防・衛生対策の必要性が高まったことから、クショニョン郡中央病院とレバカンド市中央病院への給水施設整備支援を追加活動として実施することになりました。次に、プライマリーヘルスケアセンターでの活動を今まで以上に推進することにより、第1次・第2次保健医療施設間の新生児・乳児リファー体制の構築をより強化することを目指す内容になりました。

以下、今回のPDM改訂により見直された、期待される成果の内容です。

成果1:対象郡・市中央病院の産科・小児科病棟の機能が向上する。
成果2:保健医療従事者の、妊産婦と新生児・乳児のケアに係る知識・技術が強化される。
成果3:第1次・第2次保健施設間で、妊産婦と新生児・乳児に係るリファー体制が強化される。
成果4:対象郡・市中央病院に対する妊産婦と新生児・乳児のケアに係る国家スーパーバイザーの能力が強化される。

新型コロナウイルス感染症流行期間中、タジキスタン・日本ともにZoom等によるオンライン会議やモニタリング等、新たなやり方に慣れない中でも、工夫を凝らしながら遠隔による活動を進めてきました。
困難な中でも遠隔にてできる限りの活動を継続してきたことが、渡航再開後すぐのJCC開催となり、スムーズなPDM改訂に繋がりました。

今後、新型コロナウイルス感染症流行により停止していた活動も再開し、流行以前よりも良い成果となるよう、新しくなったPDMをもとにプロジェクトを進めていきたいと思います。

【画像】

第5回合同調整委員会(JCC)開催の様子