プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)橋梁維持管理能力向上プロジェクト
(英)THE PROJECT FOR CAPACITY DEVELOPMENT FOR BRIDGE MANAGEMENT

対象国名

タジキスタン

署名日(実施合意)

2020年10月16日

協力期間

2021年2月22日から2024年11月29日

相手国機関名

タジキスタン国運輸省(Ministry of Transport:MOT)
道路維持管理局(State Enterprise for Transport Management:SETM)
道路維持管理事務所(State Enterprise for Highway Maintenance:SEHM)
設計研究所(Design Institute for Transport Infrastructure:DITI)
タジキスタン工科大学(Tajik Technical University:TTU)

背景

タジキスタンは、キルギス、ウズベキスタン、アフガニスタン及び中国と国境を接し、国土の93%が山岳地帯である内陸国です。海港への出口を持たず空路輸送も発展途上であるため、人や物の輸送の90%が陸路で行われております。他方、同国には中央アジア諸国を結ぶ中央アジア地域経済協力(Central Asia Regional Economic Cooperation:CAREC6回廊のうち3回廊が通り、道路ネットワークの改善によって、内陸国という不利な状況を克服し、物資のトランジット国になる可能性を秘めています。
同国の「国家開発戦略(2030)」では、「交通デッドロック」の解消を通じた経済成長及び地方開発が国家開発の重要目標に掲げられており、目標達成のためには運輸インフラの適切な維持管理は必須となります。また「運輸総合開発プログラム2010-2025」では、運輸インフラの建設、改修に加え、維持管理が目標として掲げられており、同国の運輸分野における重要課題の一つが橋梁の維持管理です。
運輸省(Ministry of Transport:MOT)が管理する道路(総延長14,200キロメートル)上の橋梁約2,200橋のうち多くがソ連時代に建設されたものですが、1991年の独立後の内戦及び経済低迷、また橋梁維持管理技術者の不在等により適切な維持管理が行われておらず、劣化が進行しています。橋梁の損傷が深刻になった後に事後的な補修が行われている状況であり、計画的な橋梁維持管理の実施が喫緊の課題となっています。
かかる状況を踏まえ、橋梁維持管理の適切な知識を有する専門家を育成し、全国の橋梁のインベントリー整備(橋梁の現況記録整備)及び維持管理体制を構築するため、本事業の実施がタジキスタン政府より我が国へ要請されました。

目標

上位目標

国際道路・国道上の橋梁が計画的に維持管理される。

プロジェクト目標

MOT、DITI、SETM・SEHM及びTTUの橋梁維持管理能力が向上する。

成果

1.MOT、DITI及びSETM・SEHMの橋梁維持管理体制が強化される
2.MOT、DITI、SETM・SEHM及びTTUの橋梁インベントリー作成、点検・診断、維持管理、補修能力が向上する
3.MOT及びモデルSETMの橋梁維持管理計画策定能力が向上する
4.橋梁維持管理に係る人材育成体制が強化される

活動

成果1に係る活動

1-1.橋梁維持管理体制に係るベースライン調査が実施される
1-2.橋梁維持管理に係る関係機関・部署の役割の決定
1-3.活動1-2で決定した分掌に沿ったモデルSETMの業務支援
1-4.橋梁維持管理体制に係る改善案の作成及びMOTによる承認

成果2に係る活動

2-1.橋梁維持管理状況(インベントリー整備・損傷・維持管理状況)に係るベースライン調査が実施される
2-2.モデル地域及び対象橋梁が選定される
2-3.橋梁のインベントリー作成、点検・診断、補修、維持管理に係る技術マニュアル案が作成される
2-4.MOT、SETM・SEHM、DITI、TTUに対する橋梁点検・診断、補修、維持管理、データベース運用に係る研修が実施される
2-5.MOT及びSETMに対してBMSが導入される
2-6.モデル地域において橋梁の点検・診断が実施される
2-7.モデル地域においてパイロット事業が実施される
2-8.技術マニュアルが最終化され、MOTにおいて承認される
2-9.点検・診断の結果に基づき、MOT、DITI、TTUにおいて橋梁設計・施工の課題が共有される

成果3に係る活動

3-1.橋梁維持管理計画立案に係るベースライン調査が実施される
3-2.橋梁維持管理に係る中期計画(案)が策定される
3-3.橋梁維持管理予算案が作成され、財務省・開発協力機関に対して申請される
3-4.中期計画が最終化され、MOTにおいて承認される

成果4に係る活動

4-1.橋梁維持管理に係る人材育成制度のベースライン調査が実施される
4-2.橋梁維持管理技術者育成コースのカリキュラム案が作成される
4-3.カリキュラム案に沿って橋梁技術者育成コースがMOT、DITI、TTUによって実施される
4-4.技術者育成コースのカリキュラムが最終化され、MOTにおいて承認される

投入

日本側投入

1)専門家派遣:(専門分野を記載)

・総括/橋梁アセットマネジメント
・橋梁維持管理・補修(コンクリート橋)
・橋梁維持管理・補修(鋼橋)
・橋梁維持管理・補修(下部工)
・橋梁点検・診断
・橋梁維持管理システム
・橋梁補修設計・積算
・補修実技指導
・組織制度・人材育成
・モニタリング・評価・研修

2)研修実施:(受入分野を記載)

本邦研修、第三国研修、現地OJT研修

3)機材供与:橋梁維持管理資機材、橋梁維持管理システム(BMS)

4)パイロット事業費用

5)調査団派遣

相手国側投入

1)カウンターパートの配置

・プロジェクト・ディレクター:MOT副大臣
・副プロジェクト・ディレクター:MOT道路建設・維持管理部(RCM)部長
・プロジェクト・マネージャー:MOT国際協力部(DIR)国際協力投資課(DCFI)課長
・MOT本省職員:RCM(維持管理計画課(MPEU)、道路建設課(RCU))、経済予測部(EAF)、DIR(DCFI)の職員
・DITI職員:所長、副所長、チーフ・エンジニア、関係職員
・SETM職員:所長、チーフ・エンジニア、関係職員
・SEHM職員:所長、チーフ・エンジニア、関係職員
・TTU代表者:教員、職員
(合同調整員会事務局:DCFI、MPEUの職員)

2)案件実施のためのサービスや施設、現地経費の提供