No.7:LGTIとの連携による研修開発

2016年10月24日

本プロジェクトは、地方自治研修所(注1)(Local Government Training Institute:LGTI)と協力して、改良O&ODを導入していきたいと考える地方政府に対し、基本研修(県政府職員向け研修、ファシリテーター研修)の実施と各種のコンサルテーションを行っていく上で必要な研修体制づくりを進めています。

プロジェクトはこれまで、LGTIとの連携による研修開発の取り組みとして、以下のような活動を展開してきました。

1.フィールド視察

昨年10月、12月にかけて行われた準備会議を経て、2016年1月9日から10日にかけて、LGTI・O&OD合同チームは、モロゴロ県マセユ村及びキロンベロ県マングラB村へのフィールド視察を実施しました。視察では、ファシリテーションの過程、コミュニティ全体の変化、コミュニティ・イニシアティブ(注2)といった側面に焦点を当て、改良O&ODの村レベルでの現状についての共通認識を構築しました。

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キックオフワークショップでのグループディスカッションの様子

2.キックオフワークショップ

LGTIとO&ODプロジェクトの連携のキックオフイベントとして、2016年1月13日から15日にかけて、首都ドドマ郊外のホンボロ地域に位置するLGTIのキャンパスにて3日間のワークショップを開催しました。ワークショップでは、以下のテーマが議論されました。

1)タンザニアにおける地方分権化とO&ODの背景
2)地方分権化と地域開発についての日本の経験
3)従来型O&ODとO&ODプロジェクト・フェーズ1における改良O&ODの経験
4)O&ODプロジェクト・フェーズ2の目的とアプローチ(LGTIとの連携に向けた展望を含む)

3.マスタートレーナー(注3)候補との第一回研修開発合宿

改良O&OD研修のうち、ファシリテーター研修のねらい、進め方についてLGTIのムワンガ講師を中心に議論した上で、2016年3月7日から12日にかけて、モロゴロにて第一回研修開発合宿を実施しました。

合宿では、参加者であるマスタートレーナー候補が、コミュニティーの分析方法について議論を交わしました。コミュニティーとは何か、長年コミュニティーがどのように維持されてきたか、タンザニアの社会的文脈、中央政府による地方分権やO&ODを通じたコミュニティー、地域社会に対する働きかけの目的とそのインパクトなど、これまでの背景や問題点を議論しながら、参加型地域社会開発(Participatory Local Society Development:PLSD)及び参加型開発(Participatory Approach:PA)の概念枠組み、ファシリテーションについて学習しました。この合宿では概念そのものを説明するのではなく、具体的で身近な事例を議論するなかで、必要な概念を要所で紹介し、これを用いて分析することで理解を深めていく方法をとりました。

合宿中には、改良型O&ODの現場での実践に触れるため、また、コミュニティーの現状分析の経験を積むために本プロジェクトのモデル県の一つであるバガモヨ県内の2村において村の関係者に対する聞き取りやフィールド視察も実施しました。

次回の合宿は、前回の合宿で学んだ改良O&ODと関連するコミュニティー・地域開発の概念枠組みへの理解を深めると同時に、ファシリテーションの方法について具体的なスキルを習得することを目的とし、2016年6月中旬〜下旬に開催予定です。次回は本プロジェクトのモデル県の一つであるキロンベロ県内の2村での実地訓練を検討しています。これにより、マスタートレーナー候補らの理解と実践を深めていくことにしています。

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モロゴロ合宿中のグループディスカッションの様子

(注1)LGTIホームページ:(外部サイト)
関連するJICA技術協力プロジェクト「地方自治体研修能力強化プロジェクト フェーズ2」

(注2)住民が自発的且つ主体的に意思決定と実施プロセスに参加をしている開発活動

(注3)改良O&OD研修体制の中核メンバーで、トレーナーのリーダー格として研修運営やトレーナーの育成を行う。将来的には地方自治庁職員らとともに地方政府に対する各種コンサルテーションを行えるようになる事も期待されている。本プロジェクト期間中に5名のマスタートレーナーを育成することが目標とされている。