No.21:ガイドライン完成への道

2019年12月1日

2018年以来、紆余曲折を繰り返し、茨の道を進んできた当プロジェクトですが、2019年は至福の感情とともに終えることができました。O&ODガイドラインがついに完成したのです(注)。

遡ること2018年の11月、関係者のJoint Coordination Committee(以下、JCC)にて2021年までのプロジェクトシナリオが提案され、2019年中にO&ODの全国普及に着手することが合意事項となりました。それに合わせて、ガイドラインの完成が急務となりました。

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JCCにて2021年3月までの2ヶ年シナリオが合意された。写真はJICA本部担当者と地方自治庁事務次官。(2018年11月、ドドマ)

ガイドライン作成の過程は長く、我々は連日のようにカウンターパートとの議論を重ねました。時には合宿形式の会議も行い、地方自治庁上層部との会議や広い関係者からの意見聴衆会などを実施しましたが、実施会合の数は2019年9月までに36回に上りました。

その過程の陰にはタンザニア地方自治庁の絶え間ない努力と諦めることのないコミットメントがありました。

ガイドライン作成に関わる関係者が増えれば増えるほど、新たな改善点が見出され、骨子作りの合意に辿り着くだけでも数ヶ月を要しました。O&ODチームと地方自治庁内の他部署職員混合で何度も打合せ、ガイドラインの要旨についての共有理解を得られるよう試みました。執筆作業が始まると、待ち受けていたのは内容を練り上げる個人個人のブレインストーミングや合宿形式の嵐です。この合宿作業で各自の提案を共有し合いながら、ガイドラインの質を高めていきました。

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合宿作業にて校正を行う地方自治庁の職員。(2019年6月、モロゴロ)

議論、執筆、書き直しのプロセスを何周も行い、2019年10月21日、ついに事務次官からガイドラインの正式承認がおりました。

一方、このガイドラインの承認によって、プロジェクトでは新たなタスクが発生します。ガイドラインを全国の県行政が十分理解し、適切に利用し続けられるように、全国26州185県の行政官を対象としたワークショップが必要とされました。今後2020年1月から6月まで、改良O&ODの紹介と実施研修を兼ねてこちらのワークショップは実施される予定です。

このワークショップを通じて、改良O&ODの本質を県・州行政官が組織として内部消化し、タンザニアにおける既存の行政機構の中で改良O&ODの考えが効果的に組み込まれ、組織化を目指したアイデアが創造されることが期待されています。

当プロジェクトでは、引き続き地方自治庁と協力し、国政・州・県・村行政の協働による地方開発の具現化を目指していきます。

(注)本ガイドラインは、以下3種類の公式文書で構成される。1)Guidelines for Improved Opportunities and Obstacles to Development(O&OD)、2)Planning and Implementation Manual for Improved O&OD、3)Community Facilitation Manual for Improved O&OD

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全国で利用されるガイドラインと2種のマニュアル。写真はスワヒリ語版(2019年10月、ドドマ)

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印刷業者で印刷進捗と仕上がりを確認。(2019年12月、ダルエスサラーム)