LTOPセミナーにて、第1回介護モデルサービス効果測定調査の分析結果報告が行われました。

2015年4月15日

2015年1月から3月にかけて、プロジェクト調査チームは全6サイトを訪問し、第1回効果測定調査を実施しました。そして3月24日(火)、LTOPセミナーにて、現時点での分析結果を報告しました。

会場となったJICAタイ事務所には、保健省、社会開発・人間の安全保障省、バンコクサイト、ノンタブリサイト等のタイ側プロジェクト関係者が23名。日本からは厚生労働省、在タイ日本大使館、JICA本部、タイ事務所等より13名。タイ・日本関係者計36名が集いました。

セミナーでは主な調査チームメンバーである保健省のパリチャート職員より、全6サイトの基礎データ(サービス実施状況、ケアワーカーへの手当等)と、高齢者へのケアプラン導入後のADLの改善に焦点を当てた結果報告が行われ、タイ・日出席者から今後の調査に向けた様々な意見・提案が挙げられました。

第1回効果測定調査の概要
サイト名/調査日程 高齢者数 介護者数 ケアマネ数 ケアワーカー数
ナコンラチャシマ(1月22日〜23日) 23 23 3 14
ノンタブリ(2月3日〜4日) 32 32 4 7
バンコク(2月12日〜13日) 18 18 4 14
チェンライ(2月17日〜18日) 29 29 5 31
スラタニ(2月27日) 16 16 6 13
コンケン(3/4日〜5日) 27 27 4 5

ディスカッションで挙げられた、今後の調査への主要意見・提案は、以下の通りです。

(1)追加を検討をして欲しい視点(政策提言に向けて)

・ケアマネジャー、ケアワーカーへの更なる質問
→ LTOPの介入/ケアプラン導入後、より多くの高齢者を担当できるようになった、もしくはより丁寧に見られるようになった、等の変化がないか、ケアマネジャー、ケアワーカーから聞き取れないだろうか(日本)
→ ケアワーカーはケアプラン通りの内容でサービスを提供できているか、チェックした方が良い/ケアワーカーに更に必要な介護知識・スキルは何か調べると良い(タイ)
→ 標準化すべき最も重要な点は、タイのケアマネジャーとケアワーカーの定義・役割の明確化である(タイ)

・サステナビリティについて
→ 素晴らしいタイのボランティアシステムを維持しつつ、どうプロの(賃金導入あり、なし)ケアマネジャー、ケアワーカーを導入できるのだろうか?(タイ、日本)
→ ボランティア向けガイドラインを作成してはどうかと提案したい(タイ)
→ 将来、介護サービスに貢献してくれそうなケアワーカー候補人材発掘も、調査可能か?(日本)
→ 効果の持続性(ケアプラン導入→ADL向上)も、今後の調査でもフォローしてほしい。(日本)

・経済/コスト視点
→ ケアワーカーへの賃金導入を開始したコンケンと他サイトとでは何か違いがありそうか/いくら払って現行のサービスを受けたいか、家族からのデータ収集は可能か?/家族による介護とケアワーカーによる介護のコスト比較は可能か?/ケアワーカーによる介護で家族介護者の収入は上がりそうか?(タイ)
→ 必要な視点だが、経済・商業的な観点からの分析はもう少し後でも良いかもしれない(日本)

(2)結果の見せ方の工夫(説得力の向上)

・サイト毎の比較(共通点と違い。農村部、都市部での違い)を見せる。(タイ、日本)
・ケアワーカーの訪問頻度とADL改善度合いを可視化しては?(タイ)
・結果の配布に向けて、各プロジェクトサイトの好事例、その要因を明らかにする必要がある。(タイ)
・タイでの新たな介護システムにおいては、家族やボランティアの役割を社会的にきちんと認識することが必要。タイの介護における家族の役割を、何らかの形で表せないか?家族がADL向上にどの程度寄与しているのか、等を数値化できないか? (日本)
・介護が必要となる原因、医療的状況を見せて、介護予防にも活用できると良い。(タイ)

(3)その他の意見

・ADLが上がった要因を(ケアプラン実施に加え)更に掘り下げてほしい。特定のサービスによるのか。家族の力か。ケアワーカーによるか、等。(タイ/日本)
・ケアプランを導入してもうまくいかなかった事例も個別分析し、理由を明らかにしては?(タイ)

同セミナーではプロジェクト活動全体も振り返り、次回の本邦研修のトピックに関してなど、興味深い話合いが行われました。活動、調査への様々な意見を踏まえて、今後もプロジェクト活動を進めてまいります。

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厚生労働省大鶴統括による冒頭挨拶

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保健省ジャップ氏による調査結果報告

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セミナー集合写真

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23日(セミナー前日)のノンタブリサイト視察時の風景