プロジェクト・サイトでのヒアリング

2016年10月17日

LTOPではプロジェクト・サイト全6ヶ所で事業に関わっているスタッフから現状や事業についての意見を聞きました。聞き取りをしたスタッフは、各サイトの自治体職員、ケア・マネージャー、ケア・ワーカーです。また、各サイトで高齢者数名とその家族からプロジェクトの感想も聞きました。これらの意見は今後の活動に活かしつつ、プロジェクト目標である現在作成中の政策提言に反映されます。

自治体職員からは高齢者ケアにおける自治体の役割、LTOPの効果について伺いました。高齢者に関する自治体の主な役割は、医療・保健サービスと社会福祉サービスの調整です。その他、ボランティアなどの地域で高齢者支援に関わる人材育成や住宅の修繕、貧困者への支援も自治体の役割となっています。LTOPの効果として、医療と福祉の連携が強くなったことで、高齢者への支援が機能的になりました。しかし、まだ社会福祉の面が弱いとの意見もありました。

ケア・マネージャーからは新規ケースの見つけ方、ケア・マネージャー業務の負担感、ケア・マネージャーの資質等を聞きました。新規ケースは高齢者の家族や保健ボランティアなどの地域からの連絡と病院退院時に病院からの連絡によることが多かったです。連絡を受けた後、ケア・マネージャーがその高齢者の身体機能や家庭環境などを調査し、支援するかどうか、支援内容をどのようにするかを関係者間で協議します。
業務の負担感は各人で異なります。ケア・マネージャーは病院の看護師や自治体職員が他の業務と兼務して行っています。他の業務と上手くバランスを取りながらやっている人もいれば、どうしても業務量が多くて負担が大きいという人もいました。日本のケア・マネージャーと同じように、多くのケア・マネージャーが文書作成が多いという意見でした。
現在、ケア・マネージャーを務めているのは、病院の看護師や理学療法士などのコメディカル・スタッフと自治体の行政職員です。将来、誰がタイのケア・マネージャーを担うべきか意見を伺いました。病院との連携が多いことから医療職がよいというのが大半の意見でしたが、必ずしも医療職でなければならないことはなく、努力すれば誰でもできるという意見もありました。

ケア・ワーカーからは業務内容や手当のことを聞きました。ケア・ワーカーは高齢者宅を訪問し、血圧を測り、体操をしたり、話し相手になったりします。食事や掃除などの家事援助をすることもあります。訪問の頻度はサイトによってことなり、週一回から隔週一回程度です。手当の支給もサイトによって異なりますが、バイクでの訪問が多いため、ガソリン代に当てられるような手当が必要という意見が多かったです。

高齢者とその家族からは、訪問者があることで身体的にも精神的にも状況が改善したという意見がありました。またオムツなどの消耗品の援助やもっと訪問やデイ・サービスを利用したいという要望がありました。さらに経済的に貧しいために何らかの経済的援助が欲しいという人もいました。

このヒアリングを通して現場での活動がより深く理解できるようになりました。この現場の声をプロジェクトに活かし、また将来のタイの介護システムをよりよくするために政策提言にも反映させていきます。

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ケア・ワーカーからの聞き取り

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高齢者宅訪問