新型コロナウイルス感染症パンデミック下におけるARCHプロジェクトの活動進捗

2020年12月4日

新型コロナウイルス感染症へのASEAN各国の対応事例の共有(ウェビナー)(9月15日)

ARCHプロジェクトでは、ASEAN各国の保健行政、災害医療・救急医療に関する関係者と共にプロジェクトを実施しており、各国のARCHプロジェクト関係者は様々な立場で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)危機への対応に当たっています。また、ARCHプロジェクトの目標は、一元的には、地域内災害医療連携の強化ですが、緊急医療チーム(Emergency Medical Team:EMT)の活動にはCOVID-19対応のような公衆衛生上の緊急事態への対応も含まれます。そこで、ARCHプロジェクトでは、各国のCOVID-19に係る対応事例を集め、ASEAN域内で共有するためのウェビナーを開催することとなりました。
その第1回目が9月15日に開催され、カンボジア、フィリピン、タイ、ベトナムの4カ国より、リスク・コミュニケーション、特別医療チームの活動、患者搬送、院内感染対策などに関する報告が行われました。今後も第2回以降、日本を含めた各国からの報告が予定されています。

第10回PWG1会議(10月1日)

6月にPWG1及びPWG2のオンライン合同会議が開催され、COVID-19禍においてもオンラインツールを駆使してプロジェクト活動を継続することが合意されました。本PWG1会議では、災害医療に関するASEAN首脳宣言(ASEAN Leaders Declaration:ALD、2017年)実現のための活動計画への取り組みと、それを支援するためのARCHプロジェクト次期フェーズ(2021年~2025年)の計画案が話し合われた他、ARCHプロジェクトを通じて開発された「災害医療支援に関する標準手順書(Standard Operation Procedure:SOP)」のASEAN公式手順書への統合プロセスの進捗、ARCHプロジェクトでの検証を通してWHOの国際標準ツールとなったEMTの災害医療情報の標準化手法(Minimum Data Set:MDS)のCOVID-19対応への応用に向けた協議が行われ、ASEAN各国からも導入に前向きな意見が多く見られました。

第8回PWG2会議(10月20日)

10月1日のPWG1に続き、10月20日にPWG2が開催されました。現在ARCHプロジェクトでは、EMTの初級研修や、被災国による医療支援調整機能に関する研修などのカリキュラム開発、地域連携演習(Regional Collaboration Drill:RCD)主催国のための運営ガイドブックの開発などが進められており、本PWG2会議では、これらの活動の進捗状況や、災害保健医療分野におけるASEAN学術ネットワークの構築、また2021年に開催が予定されているASEAN学術会議について協議され、さらにRCDの開催が予定されているミャンマーのCOVID-19流行の状況や開催準備の方針などが確認されました。

2020年3月以降、対面式の会議やRCDなどのイベントが開催できない状況となっており、またASEAN地域では、度重なる台風の襲来やそれに伴う洪水被害の発生など非常に困難な状況が続いていますが、タイ保健省や国家救急医療機関(NIEM)を含むASEAN各国、ASEAN事務局の関係者らと緊密に連携しながらプロジェクト活動が進められています。

【画像】新型コロナウイルス感染症へのASEAN各国の対応事例の共有(ウェビナー)の発表資料

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PWG1会議の様子(タイ)

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PWG2会議の様子