【COVID-19禍における緊急支援活動1】日系企業による有機肥料100トン寄贈

2020年6月15日

タイ王国内務省コミュニティ開発局(以下、CDD)では、COVID-19禍の影響により、経済活動が停滞し、主要産業である観光業も大きく落ち込み、失業率の高まり、都市部ではパニックにより買い占め等が発生し、社会に打撃を与えている現状を踏まえ、また、今後訪れるかもしれない食料危機を回避するため、前国王が提唱された「足るを知る経済(充足経済)の哲学」に基づき、バンコク都を除く76県の郡、行政区、村および関係自治体、コミュニティリーダー等が一丸となり、全ての対象世帯における食料安全保障を生み出すため本キャンペーンを開始しました。対象世帯は、76県12,977,039世帯。実施時期は2020年4月1日から6月30日までに、対象全世帯のうち、90%以上の世帯で自家栽培のため野菜を植えることを目指しています。
JICAでは、この国民活動を実施したCDDとともに、地域格差を是正する当プロジェクトに2017年より取り組んでいます。このようなタイ国全体を巻き込んだ国民運動がうねりを見せる中、「対象世帯の90%が野菜の自家栽培を行う」という目標の達成をサポートするため、日本企業と密接に連携し、野菜の自家栽培に必要な物資支援(有機肥料100トン寄贈)を緊急支援として実施しました。
2020年6月15日、タイ中部ロッブリー県にあるOne Star Emerald Co.Ltdにおいて、有機肥料100トンの寄贈式が行われました。寄贈式では、CDDチョクチャイ副局長から株式会社関東農産(栃木県那須町)、株式会社アイエム(福岡県前原市)、関東農産・アイエムが現地企業と設立した合弁企業のOne Star Emerald Co.Ltdの3社、JICAへの謝辞、そして「寄贈された有機肥料はこの国民運動に取り組む国民一人一人へしっかり届け、活用し成果に繋げたい」との言葉がありました。本緊急支援を通じて、タイ国内16県(北部7県、東北部1県、中部8県)に有機肥料が寄贈され、16県の全世帯数中、実際に植付けを行い、食料供給の安定がもたらされた世帯数は約223万世帯に及んでいます。
当日の寄贈式の様子は、タイ国営放送(NBT)や多数の民放各社や新聞社にて紹介され、官民連携による日本の顔が見える支援を広くタイ社会へ発信する機会となりました。

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集合写真(CDDチョクチャイ副局長、Emerald Star社幹部、JICAタイ事務所湯浅次長ら)

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寄贈式にてスピーチするJICAタイ事務所湯浅次長

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有機肥料を積んだ車両へ出発サインを送る関係者ら

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16県へ寄贈される有機肥料を積み出発待機する車両

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寄贈された有機肥料を積み16県へ向かう車両

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寄贈された有機肥料を積み16県へ向かう車両