第2回パイロットプロジェクト(農業分野:スマート農業)現場見学会を開催!

2022年11月28日

タイ国では日本と同様に高齢化による農業従事者の減少が進んでおり、デジタル技術の導入や一層の機械化による農作業支援や生産性の向上が必要になると想定されております。そこで本プロジェクトでは、農業関係の企業にご参画いただき、NCDCから配信される高精度測位データを活用したパイロットプロジェクトを実施しています。高精度測位データを活用した農機の普及が本プロジェクトの上位目標にも言及されている「高精度測位データを活用した新たなビジネスやイノベーションの創出」に寄与します。

11月10日(木)、ヤンマーアグリ株式会社とYANMAR S.P.Co., Ltd は、サラブリ県にある契約農家のほ場にてNCDCの高精度測位データを活用した農業パイロットプロジェクトの現場見学会を開催しました。見学会には、タイ国の政府機関、民間企業、日タイ双方のメディア、他、在タイ日本国大使館などから、約60名が来場しました。

【画像】

現場見学会の会場の様子

【画像】

ドローンから撮影した現場の様子

現場見学会では、本プロジェクト、NCDC、およびパイロットプロジェクトの紹介がされたあと、無人で作業を行うロボットトラクタと有人を前提とした自動運転農機(直進アシストトラクタ、直進アシストコンバイン、オート田植機)のデモンストレーションと試乗会が行われました。来場者はそれぞれの農機に乗車して、NCDCから配信される高精度測位データによって農機が精度良く直進走行したり、農業未経験者でもコーンの収穫ができたりすることを体験しました。
JICAタイ事務所の鈴木所長から来場者に対し「今回のスマート農業のように、電子基準点による高精度測位データを活用したビジネス活動の促進は、タイの経済発展やThailand 4.0の実現の一つのカギになると考える」と伝えられました。また、ヤンマーアグリ株式会社の日髙開発統括部技監からは「3年前は実現できなかったが、NCDCが設置されたことによってほ場でも高精度測位ができるようになった。近い将来、高精度測位技術を活用した農機が一般に普及する姿を期待して欲しい」とのメッセージをいただきました。
さらに、タイ側を代表してGeoinformatics and Space Technology Development Agency(GISTDA)のRattawat Wasuhiranyrith氏から、「ヤンマーアグリ社はタイの農業の課題を解決するソリューションを持っている。今後もぜひタイの農業を支援していただきたい」と期待が述べられました。

【画像】

ロボットトラクタの試乗

【画像】

直進アシストトラクタの試乗

【画像】

直進アシストコンバインによるコーンの収穫体験

【画像】

オート田植機の試乗

来場者からは「農機を運転したことのない自分でも作物を収穫できたことに驚いた。」、「ハンドルを操作しなくても農機が直進するのは不思議な感覚だったが、体験できて良かった。」、「タイは将来農業の労働者不足に直面する。特に若者は農業に従事しようとしない傾向にある。これらを解決するためには、新技術を取り入れた労働環境の改善が必要になる。そのために今回見せていただいたような農機の普及がタイでも必要になる。」といった意見が聞かれました。
自動農機の普及や、それらを支える測位インフラであるNCDCの重要性が再確認された見学会となりました。

【画像】来場者による集合写真

本プロジェクトでは、農業・測量・建設・自動運転の分野において8件のパイロットプロジェクトが実施されております。今後、他のパイロットプロジェクトの進捗についても順次プロジェクトニュースにて報告します。

(注)本パイロット事業は、タイ国における国家CORSデーターセンター(NCDC)の認知度向上や利活用の促進、将来的にはタイの経済発展やThailand4.0への寄与を目的として実施しています。パイロット事業の目的やプロジェクトにおける役割については、以下のプロジェクトニュースをご参照ください。