タイ国では1980年代初頭から1990年代前半にかけて工業化を推進する「東部臨海開発計画」が推し進められ、我が国は国際協力事業団(旧JICA)を通じた技術協力や、海外経済協力基金(OECF)を通じた円借款(供与額約1787億円)を実行した。同国が1980年代後半以降達成した毎年11.0~13.0%の経済成長は東部臨海開発計画による工業化が大きく貢献したとされており、現在においても東部臨海地区は東南アジアを代表する工業地帯である。一方、同地区に立地する化学工場の集積地であるラヨーン県マプタプットでは次第に悪臭問題が顕在化し、1997年には原因不明の大気汚染によって工場付近の小学校の児童・教師数十…