プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)非感染性疾患予防対策プロジェクト
(英)Project for the Prevention and Control of Non-Communicable Disease

対象国名

ウズベキスタン

署名日(実施合意)

2017年6月28日

協力期間

2021年2月11日から2026年2月10日

相手国機関名

(和)保健省健康促進・身体活動強化センター、タシケント州とナボイ州の保健局および一次医療施設
(英)Center for supporting healthy life style and strengthening physical activities of the population, Health Department and primary health care facilities of Tashkent and Navoi Oblast

背景

ウズベキスタン共和国(以下、ウズベキスタン)では、近年、非感染性疾患(Non-Communicable Diseases:以下、NCDs)が主要な死因を占めるようになる等、疾病構造の転換が急速に進み、大きな課題となっている。同国では全死因の84%(WHO 2016)をNCDsが占めているが、その中でも循環器系疾患がその死因の58%を占め、がん(8%)、糖尿病(3%)、慢性呼吸器疾患(2%)と続いている(WHO 2016)。また、NCDsによる死亡のうち、70歳以下の死亡率が25%と、日本の9%と比較して高水準であり、NCDsによる早期死亡がもたらす経済的、社会的影響が懸念されている。
JICAは同国北西部に位置するナボイ州において「保健医療システム改善計画調査」(2002年~2003年)、「ナボイ州保健医療サービス改善計画調査」(2007年~2009年)を実施し、同国のマスタープラン策定及び三次医療施設の機能改善などを支援した。また、技術協力プロジェクト「非伝染性疾患予防対策支援プロジェクト」(2010年~2013年)では、同州の2つの郡においてNCDsの予防・早期発見の強化を支援し、特に、健康診断等の取り組みは、NCDs早期発見の重要性の再認識につながり、大統領令「ウズベキスタン国民のための健康と栄養のための対策パッケージ」(2015年~2020年)の中でも全国的なNCDs早期発見(健康診断、啓発活動等)が規定されることとなった。その後、ウズベキスタン保健省により一次医療施設を中心にNCDsの予防・早期発見に関する取り組みが進められているが、医療従事者のスキル不足や患者に対するコミュニケーション能力、患者管理能力が低いことから、質が確保された保健医療サービスを提供できていない課題を抱えている。
2007年9月の大統領令“On main directions of further intensification of reforms and implementation of the State Programme for health care development”において保健医療はウズベキスタンの重要課題とされ、特に死因の上位を占める NCDsに関しては、 2015年に「Action Plan on healthy nutrition and NCDs prevention for 2015-2020」が実行計画として制定され、NCDs予防と早期発見への取り組みを強化している。また、2018年12月にNCDsに関する大統領令“On measures over prevention of NCDs and supporting of healthy life style as well as increasing a level of physical activities of the country population”が出され、NCDs対策の取り組み強化は政策的にも重要な課題である。
本事業では、一次医療施設におけるNCDs予防及び早期発見・患者管理に関する対策能力の強化を行うとともに、州保健局のNCDsに関するサポーティブ・スーパービジョンの能力を強化することを通じて、対象地域(タシケント州、ナボイ州)におけるNCDs予防対策の強化を図る。

目標

上位目標

タシケント州およびナボイ州におけるNCDs予防対策が強化される。

プロジェクト目標

タシケント州およびナボイ州の一次医療施設におけるNCDs予防対策の能力が強化される。

成果

1.NCDs予防のためのヘルスプロモーションが強化される。
2.NCDs、主に心血管疾患及び糖尿病早期発見のための一次医療サービス提供能力が強化される。
3.NCDs患者とリスク患者管理のための治療、カウンセリング、リファラル等一次医療サービス提供能力が強化される。
4.州保健局のNCDsに関するサポーティブ・スーパービジョンの能力が強化される。
5.プロジェクト活動で得られた知見が可視化され、保健省、州保健局及び医療施設の医療従事者と共有される。

活動

成果1に係る活動

1-1.プロジェクトはコミュニティにおけるNCDsヘルスプロモーション状況のベースライン調査を実施する。
1-2.保健省は必要に応じてNCDs予防のための啓発教材を改訂する。
1-3.州・地区保健局は最初の介入地区(タシケント州ザンギオタ地区及びナボイ州カルマナ地区)においてNCDsヘルスプロモーション行動計画を作成する。
1-4.プロジェクトは最初の介入地区においてNCDsヘルスプロモーション活動を実施する。
1-5.プロジェクトは対象州全体に拡大するための効果的なヘルスプロモーション活動を特定する。
1-6.プロジェクトはヘルスプロモーション活動を対象州全体に拡大する。

成果2に係る活動

2-1.プロジェクトはNCDs、主に心血管疾患及び糖尿病のスクリーニング実施状況について、最初の介入地区においてベースライン調査を実施する。
2-2.最初の介入地区の一次医療施設の保健従事者はスクリーニング実施に関する研修を受ける。
2-3.最初の介入地区の一次医療施設の保健従事者はスクリーニングを実施する。
2-4.最初の介入地区の一次医療施設はスクリーニングに基づいてNCDs患者とリスク患者を特定する。
2-5.プロジェクトは対象州の他の一次医療施設に対してスクリーニング研修を提供する。
2-6.対象州の一次医療施設は主に心血管疾患及び糖尿病のスクリーニングを実施する。

成果3に係る活動

3-1.プロジェクトは最初の介入地区において、標準カウンセリングプロトコルに基づいて、一般医と家庭訪問看護師それぞれが実施すべきNCDs患者及びリスク患者に対するカウンセリング(栄養、血圧測定、服薬コンプライアンス、リファラル等)を特定する。
3-2.最初の介入地区の一次医療施設の一般医はNCDs患者及びリスク患者管理方法の研修を受ける。
3-3.最初の介入地区の一次医療施設の家庭訪問看護師はNCDs患者及びリスク患者管理方法の研修を受ける。
3-4.最初の介入地区の家庭訪問看護師はNCDs患者及びリスク患者に対して家庭訪問にてカウンセリングを行い、一般医の定期的な診察を受けるよう患者を医療施設に送る。
3-5.プロジェクトはNCDs患者及びリスク患者管理方法の研修を州内の他地区に提供する。
3-6.一次医療施設はNCDs患者のリファラルとバックリファラルの情報を上位の医療施設と共有する。

成果4に係る活動

4-1.プロジェクトは最初の介入地区の一次医療施設にデータベース管理の研修または再研修を提供する。
4-2.州・地区保健局はNCDs患者データベースを基にサポーティブ・スーパービジョン計画を作成する。
4-3.州・地区保健局は一次医療施設に対しNCDsサポーティブ・スーパービジョンを実施する。
4-4.プロジェクトは一次医療施設でのNCDsデータベース管理の手法を州内の他地区に拡大する。

成果5に係る活動

5-1.州保健局は先行の各国NCDs対策やエビデンスに基づく論文等の勉強会、抄読会を実施する。
5-2.保健省は対象州間の情報共有、勉強会の場をコーディネートする。
5-3.州保健局はプロジェクト活動に基づいてプロセスドキュメント等の作成を行う。
5-4.プロジェクトは国内、国外に発表物を投稿する。

投入

日本側投入

・専門家派遣:長期4名(業務主任者/ヘルスプロモーション1、NCDs対策2、保健情報/研修管理1)
・カウンターパートの研修:本邦研修およびウズベキスタン国内研修
・その他の活動経費:必要に応じてプロジェクト活動に係る現地経費

相手国側投入

カウンターパートの配置

プロジェクトダイレクター、プロジェクトマネージャー、MoHからの人材、タシケント医学卒後教育局(Tshkent Institute for Postgraduate Medical Education)教育業務担当副学長、タシケント州およびナボイ州の責任者

施設/機材

プロジェクト実施に必要な事務所及び施設の提供

プロジェクトに関わる現地経費

プロジェクト実施に必要な支出(カウンターパートの人材に係るウズベキスタン国内の旅費や手当他)
プロジェクト実施に必要な運用経費